7月14日に逝去したクリスチャン・ボルタンスキーを偲ぶため、ポンピドゥー・センター、ルーヴル美術館、ヴェルサイユ宮殿、オペラ・コミックの4会場で記念展が開催される。
ポンピドゥー・センターでは、「The Impossible Life of Christian Boltanski」と題した展覧会を10月13日〜2022年4月13日に開催。このタイトルは、ボルタンスキーが1968年に初めて制作した映画のタイトルに由来。同年に開催された初個展タイトルでもある。
この展覧会では、20個のバックライト付きの窓からなるインスタレーション《La Vie impossible de C.B.》(2001)や、ボルタンスキーが大切に保管していた写真、手書きのテキスト、その他の小さな彫刻や模型などのオブジェクトによって構成される《Les Vitrines de réferences》(1972)、ボルタンスキーの心臓音と連動して電球が点滅する《Cœur》(2005)などを展示。ボルタンスキーの人生の痕跡をたどる。
ルーヴル美術館では、10月13日〜2022年1月10日の会期でポンピドゥー・センターのコレクションから《Les Archives de Christian Boltanski 1965-1988》(1989)と題したインスタレーションが展示される。
ボルタンスキーが1989年に制作した本作は、約200万点の写真や書類が入った600個以上の錆びたビスケットボックスからなるもので、自らの人生のプロジェクトを示す記念碑のような作品だ。この作品は、ルーヴル美術館のなかでもっとも象徴的な空間であるグランド・ギャラリーで展示予定となっている。
10月12日〜11月6日には、ボルタンスキーが2003年に構想したサウンド・アートの作品《L'Horloge parlante》(2003)が、3年がかりの改修工事を経てリニューアルオープンしたヴェルサイユ宮殿の王室礼拝堂で展示される。
そしてオペラ=コミック座では、ボルタンスキーが作曲家のフランク・クラフチクと照明デザイナーのジャン・カルマンとともに制作したオペラ《Fosse》を10月12日に再演。昨年1月にポンピドゥー・センターの地下駐車場で初めて公演された同作は、ソプラノ歌手カレン・ヴルチや28人の合唱団、13台のチェロ、6台のピアノなどが共演したもので、一般の人々もこの作品の一部となるという。
なおこの4機関が合同で企画を行うのは今回が初めて。あらためて、ボルタンスキーの存在の大きさを実感させる試みだ。