坂本龍一と高谷史郎による展覧会「ART – ENVIRONMENT–LIFE 2021」がYCAMと常栄寺で開催。自然や環境との同期を体感

山口情報芸術センター[YCAM]と山口市の常栄寺で、音楽家の坂本龍一とアーティストの高谷史郎による展覧会「ART – ENVIRONMENT–LIFE 2021」を開催される。会期は10月8日~2022年1月30日。

坂本龍一+高谷史郎 LIFE ―fluid, invisible, inaudible... 撮影=丸尾隆一(YCAM)

 音楽家の坂本龍一とアーティストの高谷史郎による展覧会「ART – ENVIRONMENT–LIFE 2021」が開催される。会場は山口情報芸術センター[YCAM]と山口市の常栄寺で、会期は10月8日~2022年1月30日。

  坂本と高谷は開館以来、YCAMにおいてインスタレーション作品などを多数制作・発表し、共作も手がけてきた。本展では、坂本と高谷が過去にYCAMで制作・発表した3つのインスタレーション作品を発表する。

 1つめは、坂本と高谷とのコラボレーションにより制作されたインスタレーション作品《LIFE ― fluid, invisible, inaudible..》だ。中空に浮かんだ9つの霧が充満した水槽には映像が投影され、また水槽に対応して設置された18台のスピーカーから発生する音が会場に響き合う。映像は20世紀の歴史的な出来事の記録映像が引用されており、サウンドは20世紀の様々な音楽様式を参照してつくられた楽曲となっている。2007年にYCAMでの滞在制作を経て発表された後、世界各地に巡回しており、YCAMでは8年ぶりの展示となる。

 2つめは、《Forest Symphony》だ。これは、2013年に坂本とYCAMが発表した樹木が発する微弱な生体電位をもとに楽曲を制作するアートプロジェクトで、今回は昨年と同様に雪舟庭で知られる常栄寺を会場に、改訂したバージョンを展示。高谷史郎のビジュアルディレクションのもと、生体電位の変化や、センサーデバイスが設置された環境の情報を視覚的に表現。これらをサウンドインスタレーションとして空間的に統合し、季節や天候に応じて変化を続ける空間を現出させる。

坂本龍一+高谷史郎+YCAM Forest Symphony 撮影=山中慎太郎(Qsyum!)

 3つめの《water state 1》は、会場の中央には澄んだ水面の台座が配置され、その周囲には岩を設置。水面にはサウンドに呼応するかのように水滴が落ち、その波紋が広がり干渉しあう様子を眺めるインスタレーションだ。2013年に発表された本作は、現在「隅田川怒涛」のプログラムのひとつとして、9月5日まで東京・東向島で公開されている。

坂本龍一+高谷史郎 water state 1 撮影=山中慎太郎(Qsyum!)

 作品はいずれも、自然と人間社会の境界で長い時間をかけて発展してきた「庭」という文化の形式に、多くのインスピレーションを受けたもの。水滴と波紋、樹々の生命活動の痕跡がもたらす揺らぎ、霧と移ろう映像、そしてそれらを包み込むサウンドなどが、鑑賞者に社会や日常生活の外にある、自然や環境と同期していくことを促す。

編集部

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