2021.3.28

『AKIRA』の音をサラウンドで体感する。日本科学未来館で新たな常設展がスタート

日本科学未来館は、3月29日より常設展3階「未来をつくる」のギャラリー「零壱庵(ゼロイチアン)」にて新展示「『AKIRA』の音 不朽のアニメ映画を彩る未知のサウンド」を公開する。

展示風景より

 東京・青海にある日本科学未来館は、同館3階の常設展示ゾーン「未来をつくる」にあるギャラリー「零壱庵(ゼロイチアン)」において、新展示「『AKIRA』の音 不朽のアニメ映画を彩る未知のサウンド」を公開する。公開日は3月29日。

 1988年に公開された映画『AKIRA』は大友克洋による漫画を原作としたアニメーション作品。2019年の混沌としたネオ東京を舞台に繰り広げられる物語は、その後の漫画やアニメ作品に多大な影響を与え、いまなお根強い人気を誇る。

 そんな『AKIRA』を語るうえで欠かせない要素となるのが、山城祥二(芸能山城組主宰)による音楽だ。山城は、自然科学者としてホモサピエンスのとるべきライフスタイルとは何かを探る研究を行いながら、音楽の専門教育を受けないまま芸能山城組を創立して活動。その活動のなかで大友からの依頼を断り切れず、映画音楽を勉強しながら『AKIRA』の音楽を制作することになった。山城はこの映画音楽の制作のためにサウンドモジュールという方式を考案し、世界中の様々なコミュニティを巡るフィールドワークで実際に体験した音(声や民族楽器など)を使用。その結果、既存の映画音楽とは異なる作品が成立し、『AKIRA』ならではの世界観を支えるものとなった。

 展示では、映像制作・堀田英仁、アートディレクション、デザイン・安田昂弘の指揮のもと、3面にプロジェクターで投影する映像によって制作背景を紹介。山城自身が設計した可聴域以上をも再生可能な6台のスピーカーによるサラウンドの音を体で感じることができるという。作曲家という立ち位置だけでなく研究者の視点ももつという山城の、これまでにない観点による音楽制作の背景を読み解くものとなる。