メディア・アーティストで、筑波大学准教授を務める落合陽一が総合監修する、東京・お台場の日本科学未来館の常設展の名称が「計算機と自然、計算機の自然」に決定した。11月14日より展示が公開される。
展示構成も発表された。コンピューターや人工知能が高度に発達した未来において、人々の自然観や世界観がどう変わるのかを、「世界観エリア」と「理解エリア」のふたつのエリアを通じて問いかけるという。
「世界観エリア」では、リアルとバーチャルが融合した世界を、体験したり直観的に理解できる作品が並ぶ。
エリア内の「鏡の箱のコレクション」のコーナーでは、展示の世界観や技術的な背景への理解を深めるため、本物のような高精細の熱帯魚が泳ぐ映像を展示。また、サポートベクターマシンや決定木といった、機械学習の技術を支える手法を観察や体験することができる。
また、「計算機と自然、計算機の自然」のコーナーでは、生け花に、実物の蝶の標本と構造色印刷技術による人工の蝶を混在させて配置し、「計算機と自然」を表現。いっぽうで、機械学習によって自動生成された、手書きのような文字やどこかで撮影されたような画像を展示することで「計算機の自然」をつくりだす。
「理解エリア」では、リアルとバーチャルが融合した世界を支える技術の発展や、今後予想される未来像についての理解を深めることができるという。
このエリアでは、人類の情報処理の進化を、歴史絵巻のようなアニメーションで振り返る「人類ステップアップ絵巻」を展示。また、それらの進化が社会や文化に与えた具体例を示す「先人たちの計算浮世話」では、紀貫之や武田信玄、初音ミクなどが、技術の進化で繰り返されてきたイノベーションについて、モニターを通じて来場者に語りかける。
日本科学未来館の展示企画開発課長である内田まほろは、「展示を通じて既成概念をひとつでも取り除いて、『未来の自然』を想像していただきたい」とコメント。これからの社会で主流となる技術に呼応した、日本科学未来館らしい常設展示となりそうだ。