江⼾時代の浮世絵師・葛飾北斎が1829年に描いた103点の未発表のドローイングが、大英博物館によって購入、現在オンラインで展示されている。
これらの作品は、『万物絵本大全図』という本のために制作された挿絵で、北斎が代表作《富嶽三十六景》(1831〜33頃)を手掛ける直前に制作したものだ。1948年まではフランスのコレクター兼アール・ヌーヴォーの宝飾商であるアンリ・ヴェヴェールに所有されており、その後はオークションに出品され、約70年間パリの個人コレクションに所蔵。昨年はふたたび公開され、大英博物館がイギリスの慈善団体「アート・ファンド」による支援を得て購入した。
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大英博物館は現在、絵画、版画、素描、絵本など1000点以上の北斎作品を所蔵。今回の作品について同館のハートウィグ・フィッシャー館長は、「これは大英博物館のコレクションに加わった本当に素晴らしいコレクションであり、150年以上におよぶ北斎コレクションのなかでも画期的なものだ」とコメントしている。
北斎はこれらのドローイングを制作するまでの2年間、2番目の妻の死去や脳卒中の罹患などにより制作活動が一時的に滞っていたとされている。今回の作品は、北斎が生涯における転機を迎え、新しい制作段階に入っていたことを示している。
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同館のティム・クラーク名誉研究員は作品についてこう話す。「これらの作品は、彼の人生と仕事の重要な時期にアーティストの活動についての私たちの知識をかなり拡大する大きな、新たな発見だ。全103点の作品は北斎の後期作品に見られる幻想的な世界観と創作、そして筆の技術によって表現されており、彼の作品が世界中の多くの愛好家の目に触れることができるのは素晴らしいこと」。
なおこれらのドローイングは現在、同館のオンライン・コレクションで公開中。今後は、博物館での展示も予定されている。
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