新型コロナウイルスの影響により公開延期となっていた映画『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』が、4月30日より新宿武蔵野館、渋谷ホワイトシネクイントほかにて全国順次公開される。この上映にあわせて、森山大道の写真展「森山大道 写真展『衝撃的、たわむれ』写大ギャラリー森山大道アーカイヴより」が、東京・中野本町の東京工芸大学写大ギャラリーにて開催される。会期は3月22日~5月31日。
森山は1938年大阪府生まれ。フリーのグラフィックデザイナーを経て、写真家・岩宮武二と細江英公に師事する。日本を代表する写真家として1960年代より活躍し、フィルムの粒子が際立つことによる画面の荒れや、手ぶれ、そしてピントのボケなどを特徴とする「アレ・ブレ・ボケ」と呼ばれる作風で知られている。
映画内では、森山のデビュー作『にっぽん劇場写真帖』(1968)復刊のプロジェクトが描かれる。展覧会ではこの『にっぽん劇場写真帖』からの作品をはじめ、写真集『狩人』(1972)、カメラ雑誌、個人誌『記録』などに発表されたもの、さらに未発表のプリントも展示する。
また、今回の展示では、同じカット(ネガ)からプリントされた作品や、同じ被写体を撮影しながらも別カットからプリントされた作品に注目。トリミング、濃度、コントラスト、焼き込みなどの違いが生むイメージの差異などを検証する。
加えて、同展の開催にあわせて『森山大道写真集成5 1960-1982 東京工芸大学 写大ギャラリー アーカイヴ』 (月曜社)も発刊。写大ギャラリーに収蔵されているすべての森山作品と、詳細な作品リストが掲載される。
写真集の復刊プロジェクトを追いながら、これまで謎に包まれてきた森山大道の撮影手法や普段の生活の一端に触れる実作品を見られる『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』。この映画内で扱われた実作を目にすることができる貴重な展覧会となるだろう。