第2次世界大戦以降のもっとも重要な芸術家のひとりであるヨーゼフ・ボイス(1921~86)と、その教え子ブリンキー・パレルモ(1943~77)。このふたりの作品を紹介する展覧会「ボイス+パレルモ」が豊田市美術館で開催される。会期は4月3日~6月20日。
「本当の資本とは人の持つ創造性である」と語り、広く社会を彫刻ととらえて社会全体の変革を企てたボイス。いっぽうでパレルモは15年に満たないその短い活動期間のあいだに、ささやかで抽象的な作品を残していた。
日本では約10年ぶりとなるボイス展、そして公立美術館としては初のパレルモ展となる本展。一見対照的なボイスとパレルモの1960~70年代の作品を中心に、社会と芸術の関わり、芸術の営為とは何かを問いかける。
今回はあらためて「社会彫塑」を訴えたボイスの「作品」に着目。初期のドローイングや、脂肪・フェルトを用いた作品、国立国際美術館が新収蔵する《小さな発電所》(1984)など約80点でボイス作品の本質に迫る。
なかでも注目したいのは、代表作である《ユーラシアの杖》(1968/69)。4メートルを超える柱と金属の長い枝で構成される本作は、東西冷戦下のヨーロッパからユーラシア大陸を再接続しようと試みるボイスの同名パフォーマンス(ヘンニク・クリスティアンゼンとの共演)で用いられたもの。このほかにも本展では、ボイスによる「アクション」の映像を計7本上映する。
また国内でまとまってパレルモを紹介する初の機会として、近年評価が高まるその作品から、既製品の布を組み合わせて抽象絵画のように見立てた「布絵画」や、金属パネルに色彩を配する晩年の「金属絵画」シリーズを紹介。加えて、パレルモの重要な活動でありながら現存しない壁画にも注目し、構想スケッチと記録写真からなるドキュメンテーションを全点展示する。
なお本展はその後、埼玉県立近代美術館(7月10日~9月5日)、国立国際美術館(10月12日~2022年1月16日)に巡回予定となっている。