EXHIBITIONS

わが青春の上杜会 − 昭和を生きた洋画家たち

2021.01.05 - 02.07, 2021.02.09 - 03.14

小磯良平 着物の女 1936 神戸市立小磯記念美術館蔵

牛島憲之 秋川 1934 熊本県立美術館蔵

山口長男 池 1936 東京国立近代美術館蔵

中西利雄 夏の海岸 1936 東京国立近代美術館蔵

小堀四郎 冬の花束 1946 豊田市美術館蔵

猪熊弦一郎 或晴れた一日 1992 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵 © 公益財団法人ミモカ美術振興財団

 大正から昭和へ、日本洋画壇の様相を振り返る展覧会「わが青春の上杜会 − 昭和を生きた洋画家たち」が開催される。

「上杜会(じょうとかい)」は、昭和になって初めての春、1927(昭和2)年3月に東京美術学校(現・東京藝術大学)西洋画科を卒業した40余名の若者が結成した級友会。母校がある「上野の杜」にちなむ名前のもと、各自の自由な思想を尊重し干渉しない関係性をモットーに活動。卒業した1927年の9月には、はやくも上杜会第1回展を開催した。

 上杜会のメンバーには、在学中に帝展に初入選を果たした者も多く、おしなべて優秀と当初から評され、戦前には10名以上がヨーロッパに留学。官展や在野展への参加や結成など、それぞれの道を歩みながら多くは昭和期終盤まで画家として活躍した。
 
 1945年に終戦を迎え、40歳代後半になった上杜会の各々。混迷する時代に画家としてなすべきことを自らに問い直し、戦後は洋画壇の主軸を担う者や、日本を離れて異国に新境地を求める者、地方の美術振興に尽力する、あるいは画壇から離れ独歩の道を歩む者もいた。

 上杜会展は戦後一時期の中断を除いてほぼ毎年開催され、1994年まで継続。晩年はますます互いの活動を認め合い、また交友や消息を確認する場として、緩やかながら確かにつながっていた。

 本展は、当時もっともアカデミックな美術教育を受けながら、千差万別な画業を歩んだ上杜会の画家たちの活動を俯瞰することで、昭和から平成を隔て、令和の時代を見通す手がかりを探る。