現代アートシーンにおいてもっとも影響力のあるひとりであり、度々物議を醸すアーティストでもあるマウリツィオ・カテラン。その中国での初個展「Maurizio Cattelan:The Last Judgment」が、11月20日〜2022年2月20日に北京のユーレンス現代美術センター(UCCA)で行われる。
1960年イタリア・パドヴァ生まれのカテランは、大衆文化を風刺し、社会や権力、権威を皮肉るような作品で知られる。93年にヴェネチア・ビエンナーレのアペルト部門に参加し、99年にはスイスの美術館クンスターレ・バーゼルでローマ法王ヨハネ・パウロ2世が隕石に撃たれた蝋人形の作品《La Nona Ora(第9時間)》を発表し、一躍脚光を浴びるようになった。
2010年以降、写真家ピエールパオロ・フェラーリとともにアート誌『TOILETPAPER』の創刊や、上海の余徳耀美術館(ユズ・ミュージアム)で「The Artist Is Present」展のキュレーションを手がけるなど、多岐にわたって活躍している。
直近では、19年12月のアート・バーゼル・マイアミ・ビーチで一本のバナナをスコッチテープで壁に貼り付けた作品《Comedian》を発表し、アートの本質や価値について世界中に議論を引き起こした(なお同作は、今年匿名のコレクターによる寄贈でグッゲンハイム美術館のコレクションにも加わった)。
そんなカテランにとって中国での初個展は、フランチェスコ・ボナミがキュレーションを手がけるもの。1989年の小型絵画《Lessico familiare》から始まり、自画像シリーズ、そしてジョン・F・ケネディやローマ法王、ヒトラーなどの歴史人物を普通の人々に変身させる作品など、30点以上の作品を通じて鑑賞者をアーティストの心とビジョンの旅へと誘う。
アートと広告やメディアの境界を曖昧にしながら、挑戦的で刺激的な作品を制作し続けるカテラン。人々の想像力を掻き立て、示唆に富む展覧会になりそうだ。