社会や権力、権威を皮肉る作品で知られているアーティスト、マウリツィオ・カテランが、ニューヨークのニュー・ミュージアムのサイトを通じてオンラインプロジェクト「Bedtime Stories」を発表した。
同プロジェクトは、世界各地のロックダウンで人々が孤独な日々を過ごすなか、カテランが友人やアーティスト、パフォーマーなどを招き、就寝前の「ベッドタイム・ストーリー」を配信するというもの。各参加者は、好きな本のワンセンテンスや一節、一章を読み、美術館のオンライン視聴者と共有。既存・オリジナルな作品を朗読する、あるいは即興で演奏するなどの形式で、自宅やスタジオの電話やパソコンで録音した音声を、6月末まで毎日配信する。
第1週目には、アメリカのミュージシャン、イギー・ポップが亡くなった愛犬への手紙を朗読するポッドキャストをはじめ、タシタ・ディーンやアブラハム・クルズヴィエイガス、アンドラ・ウルスタによる物語が公開予定だ。
カテランはニューヨーク・タイムズ紙に対し、「私はこのプロジェクトをアートワークでなく、孤立したときに他人と一緒にいる方法として考えていた」と説明。「私の作品は、イメージの力とその魅惑性や複雑さに関するものだと言えるが、ときには、見せるよりも聞くことに価値がある」としている。