今年10月25日、石川県金沢市に移転開館し、名誉館長に中田英寿が就任することでも注目を集める国立工芸館。そのこけら落としとして、開館記念展「工の芸術―素材・わざ・風土」が開催される。会期は2021年1月11日まで。
本展ではタイトル通り「素材・わざ・風土」に注目し、コレクションから選りすぐった近代日本工芸の名作約130点を公開。工芸家たちがどのように「素材―自然」と向き合い、「自然のイメージ」をどのようにとらえ直してきたか、また土地と「もの」の関係をどのように紡いできたかを探る。
見どころとなるのは、重要文化財であり、明治時代の超絶技巧の名品として知られる鈴木長吉《十二の鷹》。今回は全12羽のうち3羽を公開する。
本展は、取っつきにくい工芸作品の「名前」に注目し、そこに込められた工程を読み解く第1章、超絶技巧の明治時代からハイテクノロジーの現代まで、日本の近代化のなかで工芸家たちがどのように「自然のイメージ」をとらえ直してきたのかをたどる第2章、そして場所ともの、人の関係を考える第3章から構成。松田権六、板谷波山、富本憲吉、北大路魯山人など、石川ゆかりの巨匠たちの作品も一堂に集結する。
明治時代の歴史建造物(旧陸軍第九師団司令部庁舎)の空間で、近代日本の工芸を振り返る本展。なおチケットには、日時指定・定員制を導入予定となっている。