国立工芸館の開館記念展は「素材・わざ・風土」に注目。近代日本工芸の名作を一挙公開

今年10月25日、石川県金沢市に移転開館する東京国立近代美術館工芸館(通称・国立工芸館)。同館のこけら落としとなる開館記念展として、「工の芸術―素材・わざ・風土」が開催される。会期は2021年1月11日まで(展示替えあり)。

鈴木長吉 十二の鷹(部分) 1893 東京国立近代美術館蔵 写真= エス・アンド・ティ フォト

 今年10月25日、石川県金沢市に移転開館し、名誉館長に中田英寿が就任することでも注目を集める国立工芸館。そのこけら落としとして、開館記念展「工の芸術―素材・わざ・風土」が開催される。会期は2021年1月11日まで。

 本展ではタイトル通り「素材・わざ・風土」に注目し、コレクションから選りすぐった近代日本工芸の名作約130点を公開。工芸家たちがどのように「素材―自然」と向き合い、「自然のイメージ」をどのようにとらえ直してきたか、また土地と「もの」の関係をどのように紡いできたかを探る。

 松田権六 蒔絵螺鈿有職文筥(部分) 1960 東京国立近代美術館蔵 写真=森善之
 飯塚琅玕齋 花籃 あんこう 1957 東京国立近代美術館蔵 写真=森善之

 見どころとなるのは、重要文化財であり、明治時代の超絶技巧の名品として知られる鈴木長吉《十二の鷹》。今回は全12羽のうち3羽を公開する。

 本展は、取っつきにくい工芸作品の「名前」に注目し、そこに込められた工程を読み解く第1章、超絶技巧の明治時代からハイテクノロジーの現代まで、日本の近代化のなかで工芸家たちがどのように「自然のイメージ」をとらえ直してきたのかをたどる第2章、そして場所ともの、人の関係を考える第3章から構成。松田権六、板谷波山、富本憲吉、北大路魯山人など、石川ゆかりの巨匠たちの作品も一堂に集結する。

 明治時代の歴史建造物(旧陸軍第九師団司令部庁舎)の空間で、近代日本の工芸を振り返る本展。なおチケットには、日時指定・定員制を導入予定となっている。

板谷波山 氷華彩磁唐花文花瓶 1929 東京国立近代美術館蔵 写真=エス・アンド・ティ フォト
志村ふくみ 紬織着物 鈴虫(部分) 1959 東京国立近代美術館蔵 写真=森善之
小島有香子 積層硝子皿 月華 2013 東京国立近代美術館蔵 写真=森善之

編集部

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