今年5月に開館した京都市京セラ美術館には、メインエントランス南側にミュージアムカフェ「ENFUSE(エンフューズ)」が併設されている。ここでいま、開催中のコレクション展とコラボレーションした和菓子が提供されているのをご存知だろうか?
「ENFUSE」は、様々なカフェをオープンさせてきたWATが運営するカフェ。京都の地場食材や手法を取り入れたメニューや自家焙煎コーヒー、スイーツなどのほか、アルコールも提供しており、京都市京セラ美術館に行った際は立ち寄りたい場所となっている。
現在ここで提供されているのが、コレクションルームの夏期展示作品である上村松園《待月》をイメージしてつくられた和菓子「待月」だ。
上村松園(1875〜1949)は、気品漂う美人画により高い評価を得た女流日本画家。この《待月》は1926年の作品で、黒い紗の着物をまとった日本髪の女性が、空に月が出てくるのを待つ様子を描いたもの。女性の表情は見えず、様々な想像を巡らすことができる。
この作品から着想し、安政時代より続く老舗「京菓子司 金谷正廣」が和菓子を製作。「作品全体に漂う夏の空気感」や「まだ出ない月を待つゆっくりとした時の流れ方」「描かれる日本的な道具の風流な様」などをイメージし、琥珀色の錦玉羹で夕暮れ時の黄昏を、下部分の水羊羹は夜の帳を、黄色い餡玉は暗闇に隠れる月を表現したという。
この和菓子は、コレクションルーム夏期展示期間中(〜9月22日)、ENFUSEにて楽しむことができる。数量限定なので、同館を訪れた際はぜひチェックしてみてほしい(8月末現在でカフェ利用は展覧会の予約者のみに限定、最新情報は館のウェブサイト参照)。
なお今後はコレクション展の展示替えにあわせ、秋冬もオリジナルの和菓子を製作予定だという。