2020.8.29

京都市京セラ美術館のコレクションを和菓子で表現。ミュージアムカフェ「ENFUSE」で提供

京都市京セラ美術館内のミュージアムカフェ「ENFUSE(エンフューズ)」。ここで、同館コレクション展の展示作品にちなんだ和菓子が提供されている。

上村松園《待月》からイメージした和菓子
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 今年5月に開館した京都市京セラ美術館には、メインエントランス南側にミュージアムカフェ「ENFUSE(エンフューズ)」が併設されている。ここでいま、開催中のコレクション展とコラボレーションした和菓子が提供されているのをご存知だろうか?

 「ENFUSE」は、様々なカフェをオープンさせてきたWATが運営するカフェ。京都の地場食材や手法を取り入れたメニューや自家焙煎コーヒー、スイーツなどのほか、アルコールも提供しており、京都市京セラ美術館に行った際は立ち寄りたい場所となっている。

ミュージアムカフェ「ENFUSE」

 現在ここで提供されているのが、コレクションルームの夏期展示作品である上村松園《待月》をイメージしてつくられた和菓子「待月」だ。

 上村松園(1875〜1949)は、気品漂う美人画により高い評価を得た女流日本画家。この《待月》は1926年の作品で、黒い紗の着物をまとった日本髪の女性が、空に月が出てくるのを待つ様子を描いたもの。女性の表情は見えず、様々な想像を巡らすことができる。

上村松園 待月 1926 京都市美術館蔵

 この作品から着想し、安政時代より続く老舗「京菓子司 金谷正廣」が和菓子を製作。「作品全体に漂う夏の空気感」や「まだ出ない月を待つゆっくりとした時の流れ方」「描かれる日本的な道具の風流な様」などをイメージし、琥珀色の錦玉羹で夕暮れ時の黄昏を、下部分の水羊羹は夜の帳を、黄色い餡玉は暗闇に隠れる月を表現したという。

待月

 この和菓子は、コレクションルーム夏期展示期間中(〜9月22日)、ENFUSEにて楽しむことができる。数量限定なので、同館を訪れた際はぜひチェックしてみてほしい(8月末現在でカフェ利用は展覧会の予約者のみに限定、最新情報は館のウェブサイト参照)。

 なお今後はコレクション展の展示替えにあわせ、秋冬もオリジナルの和菓子を製作予定だという。