陶芸家・建築家として活動する奈良祐希の個展「Hybridizing」が、東京・南青山のAkio Nagasawa Gallery Aoyamaで開催中だ。会期は8月29日まで。
奈良は1989年石川県生まれ。350年あまりの歴史を誇る「大樋焼」の11代、大樋長左衛門を父に持ちながら、当初は陶芸から距離を置き、東京藝術大学で建築を学んだ。その間陶芸に興味を持ち、大学院を休学した後、多治見市陶磁器意匠研究所へ入所。現在は陶芸と建築、ふたつの領域をまたいだ活動を行っている。
本展では、陶芸と最先端のテクノロジーの融合の先に見つけた新しいかたちである「Ice Wall」シリーズを新たに発表。同シリーズは自身が幼少期を過ごした金沢の壮大な雪景色に着想を得たもので、平面と立体、線と面のあいだのような揺らぎを持つ幾何学模様立体が、たっぷりとかけられた釉薬によって光り輝く。
制作のなかで「境界」や「間」をつねに意識し、「画一的なものから抜け出して、複合的でさらに有機的なものへ辿り着きたい」と語る奈良。自分の居場所を見つけていくプロセスが深く反映された作品世界を、この機会に体験したい。