2020.7.3

作品のない展示室からドレス・コードまで。今週末に見たい展覧会ベスト3

今週スタートした展覧会から7月5日に終了する展覧会まで、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。予約方法や注意事項については、各館の公式ウェブサイトを参照してほしい。

「ドレス・コード?──着る人たちのゲーム」京都展の展示風景より、グッチ/アレッサンドロ・ミケーレ(2018年秋冬)
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美術館の様々なジャンルの総合化の機能を知る。「作品のない展示室」(世田谷美術館

世田谷美術館の廊下

 いま世界中の美術館では、海外からの作品借用が困難になるなど、予定されていた展覧会の準備に支障が生じている。6月2日に再開した世田谷美術館でも、開催を予定していた展覧会が中止となった。美術館本来のあり方が問われるこうした状況を考慮し、同館は「作品のない展示室」の実施を決定した。

 同館は1986年、都立砧公園のなかに開館。建築家・内井昭蔵が、「生活空間としての美術館」「オープンシステムとしての美術館」「公園美術館としての美術館」をコンセプトに設計を行った。

 本展では、こうしたコンセプトに基づき設計された、周囲の環境と一体化しようとする世田谷美術館の開放的な建物を鑑賞することができる。また、「建築と自然とパフォーマンス」と題したコーナーでは、音楽会やダンス公演など、これまで同館で行われた400本のなかから約40本が紹介。収集・保存・展示だけでなく、音楽やパフォーマンスなど、美術館の様々なジャンルの総合化の機能を知る機会だ。

 なお2階展示室では、近年収蔵された作品を紹介する展覧会「ミュージアム コレクションⅠ 気になる、こんどの収蔵品――作品がつれてきた物語」も開催されている(~8月16日)。

会期:2020年7月4日~8月27日
会場:世田谷美術館 1階展示室
住所:世田谷区砧公園1-2
電話番号:03-3415-6011 
開館時間:10:00~18:00
休館日:月(ただし8月10日は開館)、8月11日
料金:無料

 

チェコ・デザインの100年を総覧。「チェコ・デザイン 100年の旅」(京都国立近代美術館

「チェコ・デザイン 100年の旅」展示風景より 写真=守屋友樹

 チェコ・デザインの100年を、家具やプロダクト、ポスターなどのカテゴリーで総覧する展覧会「チェコ・デザイン 100年の旅」が、7月5日に京都国立近代美術館で閉幕する。

 本展では、チェコ国立プラハ工芸美術館所蔵の作品を中心とする約250点の作品を展示。19世紀後半から1920年代にかけてヨーロッパで流行した、アルフォンス・ミュシャを始めとするアール・ヌーヴォー様式の装飾、チェコ・キュビスム、アール・デコといった潮流、そして工業生産品が主流となる30年代、第二次世界大戦とその後の政治体制の転換を経て、90年代に至るまでの系譜を歴史軸に沿って紹介することで、チェコ、ひいてはヨーロッパの情勢が20世紀のデザインに与えた影響の一断面を示している。

 巡回展である同展だが、京都国立近代美術館の展示では、グラフィックデザイナー・西村祐一と京都国立近代美術館のキュレーター本橋仁が展示デザインを手がけた。木のフレームが構築された会場は、各年代をクロノロジーで分けつつ、次の10年、あるいは過去の10年が透けてみえるように工夫されており、時代の様式や装飾がどのように移行していくのかを、歴史的経緯も交えながら感じることができる。

会期:2020年5月26日~7月5日
会場:京都国立近代美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
電話番号:075-761-4111
開館時間:09:30~17:00(金土~20:00)
休館日:月
料金:一般 1400円 / 大学生 1000円 / 高校生 500円 / 中学生以下無料

 

「ドレス・ コード」で人々の装いの実践を見つめ直す。「ドレス・コード?──着る人たちのゲーム」(東京オペラシティ アートギャラリー

「ドレス・コード?──着る人たちのゲーム」京都展の展示風景より、手前がコム デ ギャルソン/川久保玲のドレス(2018年春夏)

 2019年、京都国立近代美術館と熊本市現代美術館を巡回した展覧会「ドレス・コード?──着る人たちのゲーム」が、7月4日に東京オペラシティ アートギャラリーで開幕する。

 本展では、京都服飾文化研究財団(KCI)が収蔵する衣装コレクションを中心に、美術作品、マンガ、映像などを含む300点以上を展示。インターネットやSNSが普及した現代社会における新たな「ドレス・ コード」や人々の装いの実践(ゲーム)を見つめ直す。

 18世紀の宮廷衣装、1900年代のスーツからストリートファッションを反映した最新スタイルまでを網羅する衣装コレクションのほか、森村泰昌や石内都、ハンス・エイケルブームなどの現代美術の実践や、坂本眞一によるマンガとのコラボレーション、演劇カンパニーのチェルフィッチュやマームとジプシーによるインスタレーションなどを通して、服とキャラクターについて考える。

 なお東京展では、ノワール ケイ ニノミヤ(2020年春夏)やコム デ ギャルソン(2016-17秋冬)の衣装作品が初出展となる。森村泰昌、青山悟、ハンス・エイケルブーム、マームとジプシーなどの作品も東京展独自の方法で展開される。

会期:2020年7月4日~8月30日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話番号:03-5777-8600
開館時間:11:00〜19:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし5月4日は開館)
料金:一般 1200円 / 大学・高校生 800円 / 中学生以下無料