Chim↑Pomの個展「May, 2020, Tokyo / A Drunk Pandemic」が、東京・天王洲のANOMALYで開催される。会期は6月27日~7月22日。
本展ではふたつのプロジェクトで構成。「May, 2020, Tokyo」は、緊急事態宣言下の5月の東京を舞台としたもの。「Stay Home」という自粛要請がうたわれた首都で、改めてその瞬間の街に目を向けて制作された作品群によるインスタレーションを発表する。
もうひとつの「A Drunk Pandemic」は、2019年にイギリス・マンチェスターのヴィクトリア駅地下のにある巨大な廃墟のトンネルで展開した、日本未発表のプロジェクト。
Chim↑Pomは、19世紀に流行したコレラで亡くなった人々が埋葬された同地にビール工場を設置し、オリジナルビール「A Drop of Pandemic」を醸造。その直営店としてトレーラー型の公衆便所を「Pub Pandemic」として開いた。また、そのトイレから下水道を延長し、会場内にセメント・ブリック工場を設置。来場者の尿が混じった汚水(を消毒したもの)でブリックを量産し、それらはマンチェスターの街路や家の修復材としても使われた。
このように「A Drunk Pandemic」は、ビール醸造所、パブ、トイレから下水道を経由した工場、そして街中にまでおよぶ壮大なプロジェクト。産業革命発生の地として知られるマンチェスターで、コレラや酵母といったバイオ的なプロセスを可視化し、街のインフラにまつわる歴史的な関係を文脈とするChim↑Pomの「都市論」として展開された。
ペストを媒介するネズミが都市環境のなかで進化した「SUPER RAT」や、カラスを題材とした作品に黒死病を連想するタイトルを付した「BLACK OF DEATH」など、これまで疫病と資本主義社会、都市の関係に触れてきたChim↑Pom。2021年には森美術館での個展も開催予定の彼らが提示する、グローバリズムの最中での「都市そのもの」と「人間のあり様」に注目したい。