生命体としてのヴィデオ・アートとは? 河合政之の個展「カオスモス」がCAPSULEで開催中

哲学をベースとした先鋭的な映像表現を展開するアーティストの河合政之。現在その個展「カオスモス」が、東京・世田谷のCAPSULEで開催中だ。会期は3月22日まで。

河合政之 ART BASEL Hong Kong 2018での展示風景 Courtesy of MORI YU GALLERY

 近年、アート・バーゼル香港2018や台北當代2020に参加するなど、海外でも注目を集めるヴィデオ・アーティスト、河合政之。現在その個展「カオスモス」が、東京・世田谷のCAPSULEで開催されている。会期は3月22日まで。

 河合は1972年生まれ。哲学をベースとした先鋭的な映像表現を展開し、これまでに世界30ヶ国以上で作品の展示を行ってきた。2002年にヤングヴィデオアーティストイニシアティヴおよびオーバーハウゼン国際短編映画祭審査員奨励賞を、12年にはトーキョーワンダーサイト「トーキョー・エクスペリメンタル・フェスティバル」特別賞を受賞するなど、その評価は高い。

 東京やニューヨーク、台湾などで個展を開催するなど、つねに精力的な活動を見せてきた河合。また、アーティストのみならず展覧会のオーガナイザーや理論家としても活動し、「Visual Philosophy」のコンセプトにもとづく様々なヴィデオ・アートのプロジェクトを展開している。主な著書に『リフレクション:ヴィデオ・アートの実践的美学』(水声社、2018)、『僕らはヴィジュアルで思考する:シームレス・メディアの時代とvideo art』(編著、現代企画室、2013)などがある。

河合政之 Video Feedback Configuration No.10 Mirrored 1 2019 Courtesy of MORI YU GALLERY

 本展では、カオスとコスモスの融合を意味する「カオスモス」というテーマのもと、数年来河合が取り組んできたアナログな映像機材を用いた「ヴィデオ・フィードバック」による作品シリーズを展示。

 美学の理論家でもある河合は、原理としてシグナルを優先し、ノイズを排除するデジタルに対して、あらゆる変化や可能性にオープンな「アナログ」こそヴィデオの本質としてとらえているという。そうしたアナログな回路を用いた河合の作品は、ひとつひとつが1種の生命体であり、一切同じイメージが繰り返されることなく無限に変幻し続けていく。

 本展は、有限な世界から無限のカオスに向けて開かれたコスモス、つまり「カオスモス」であり、見る者を永遠に転変するイメージの悦楽へ導くことを試みるものである。​

河合政之 Trans-flux No4 Square 2019 Courtesy of MORI YU GALLERY

編集部

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