今日の美術は、プロジェクトベースの作品とマーケットを意識した単体で完結するプロダクトの二極化が目立つ。石毛健太、田中良佑、BIEN、楊博による展覧会「working/editing 制作と編集」は、そのどちらでもない、物質として存在する作品ひとつから、その後に続く無数のバリエーションの存在、変化の可能性を示唆する作品のあり様を再考するもの(アキバタマビ21、東京、〜2月22日)。
都市論の再考などをテーマに掲げ、美術家のみならずインディペンデントキュレーターとしても活動を行う石毛、作品制作を通じて様々な人生の可能性の探求を試みる田中、ストリートカルチャーなどを参照し、抽象絵画やインスタレーションを展開するBIEN、そして文化の産物と人との距離をテーマに、絵画を中心に使った創造活動を行う楊博──この4名が、「作品と、編集物(それは本でも雑誌でもよいし映像でも構わない)を最低1点ずつ制作し、最低2点の制作物を展示する」という制度のうえで展覧会を展開している。
DVDボックスの特典として、監督のインタビューやメイキング映像が付属されるように、作家のある瞬間の言動や技術、その他諸々の一時的な結晶が「作品」であるとして、その過程にある「作品未満」の何か、作品とは別のかたちを持つ「編集物」の可能性を追求する展覧会だ。