日本最古の正史『日本書紀』の編纂から1300年にあたる2020年、東京国立博物館で特別展「出雲と大和」が開催される。会期は2020年1月15日~3月8日。
本展は、古代においてそれぞれ「幽」と「顕」を象徴する場であった、出雲(島根県)と大和(奈良県)に伝わる国宝20件以上、重要文化財70件以上を展観するもの。今回新たに、出雲大社境内の地下から出土した「心御柱」「宇豆柱」が出品されることが決定した。2件揃っての公開は史上初であり、その大きさや保存状態を考えると、最初で最後の機会となる可能性があるという。
古代には48メートルの高さを誇ったと言われる出雲大社本殿。この高さの本殿を支えるには巨大な柱が必要だったことは想像に難くないが、鎌倉~室町時代につくられた本殿の平面図「金輪御造営差図(かなわのごぞうえいさしず)」は、長らく図面としての信憑性に疑問が持たれてきた。
しかし2000年、境内の地下1.3メートルから大型の本殿遺構が見つかり、柱材が出土。柱材は杉の大材3本を束ねてひとつの柱としたもので、本殿を構成する9ヶ所のうち3ヶ所で発掘が確認された。そのうち中心に位置するのが「心御柱」、正面中央に位置するのが「宇豆柱」となっている。
加えて本展では、国宝《円筒埴輪》《七支刀(しちしとう)》にも注目したい。奈良県桜井市のメスリ山古墳では、埋葬施設と外界を遮断して「聖域」を保護するため、約170本の円筒埴輪が敷き詰められていた。本展ではそのなかで世界最大の大きさを誇る《円筒埴輪》が修理完成後、初公開される。その1.6~1.8センチメートルという薄さからは、当時の技術の高さをうかがい知ることができるだろう。
そして《七支刀》は、百済から倭王に「7つの枝(さや)をもつ刀」が献上された、という『日本書紀』の記述を裏付けるもの。石上神宮に伝わる《七支刀》は、左右3つずつの枝刃と、幹となる本体の刃先をあわせて7つの枝があるように見える刀剣で、まさにこの記述に合致すると考えられている。石上神宮では御神体に準じる神宝であり、通気展示での公開は特別な機会となる。
そのほかにも大量の出土青銅器や三角縁神獣鏡、最古級の石仏などが一堂に会する本展。東京で古代の至宝を見ることができる貴重な機会をお見逃しなく。