2019.11.29

儚さや不完全への美意識。⼩村希史が個展「ダイヤモンド」で新作を発表

物質としての「絵画」を追求する画家・⼩村希史の個展「ダイヤモンド」が、東京・青山のAkio Nagasawa Gallery Aoyamaで開催される。本展は、絵具を取り除く手法を用いた抽象画シリーズ「Subtract」の新作を紹介するもの。会期は12月5日~2020年1月25日。

「Subtract」シリーズより(2019)
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 物質としての「絵画」を追求する画家・⼩村希史の個展「ダイヤモンド」が、東京・青山のAkio Nagasawa Gallery Aoyamaで開催される。会期は12月5日~2020年1月25日。

 ⼩村は1977年⽣まれ。2018年に開催された個展「大きな船」(The Mass、東京)では、絵具を塗り重ねるのではなく、取り除く手法を用いた抽象画シリーズ「Subtract」を発表し、新境地を見せた。そのほか、13年「Why not live for Art? II - 9 collectors reveal their treasures」(東京オペラシティ アートギャラリー)や、14年「3331 Art Fair - Various Collectors’ Prizes」(アーツ千代田3331、東京)、16年「Flower Huddle」(The Mass、東京)といった展覧会に参加するなど、東京を拠点に精力的に活動を行っている。

「Subtract」シリーズより(2019)

 本展のタイトルである「ダイヤモンド」は、⼩村が古道具屋で⾒つけた⼿作りの古い⼦供向け冊⼦に由来する。表紙には、⼦供が書いたと思われる⽂字で「ダイヤモンド」と記されており、小村は、その遊び⼼あふれるオリジナルの字体から⼦供が楽しくデザインする情景を思い浮かべたという。

 小村は、この冊子について「いまでは⾓も折れて傷んでしまっているこの本だが、きっとその⼦にはピカピカと光輝く宝⽯のようだったのだろう」とコメント。また、ダイヤモンドはきわめて硬い反⾯、特定の⽅向へは⽋けやすい性質を持つことから、「儚さや不完全という美が僕の絵の根底にある」とする⼩村の関心を惹きつけた。

 本展は、ダイヤモンドから着想を得た「Subtract」シリーズの新作ペインティングやドローイング作品が並ぶ。また、本展を開催するにあたって、小村のドローイング作品集『紙に絵』(2019、⾃費出版)の通常版・限定版を、会場とオンラインショップ限定で販売。こちらもあわせてチェックしたい。

「Subtract」シリーズより(2019)