2019.11.26

冨井大裕の個展が長野・松本市内3会場で開催。バーからミニマルな新作まで、実践の多様な側面を見る

「彫刻」があらわれる場と時、その境界を問うアーティスト・冨井大裕。その個展「彫刻になるか?―ノート、箒、BAR」が、長野・松本市のマツモトアートセンター GALLERY、awai art center、kulwaの3会場で開催される。会期は12月1日〜14日。

冨井大裕 バーノーザンライト(カウンター) 木材、石膏、金具、照明、畳ほか 看板制作=中﨑透 制作協力=LPACK 2019 写真=柳場大 (C) Motohiro Tomii, Courtesy of Yumiko Chiba Associates
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 冨井大裕は1973年生まれ、99年武蔵野美術大学大学院造形研究科彫刻コース修了。日常の視点や既存の体系・関係、既成品への最小限の介入を通して「彫刻」の新たな可能性を模索してきた。近年は実用的な機能を備えた不定形の作品も制作し、彫刻が持ちうる性質についての考察を深めている。

 近年の主な展覧会に「アーティスト・ファイル 隣の部屋」(国立新美術館、2015)、「ASIAN ART AWARD ファイナリスト展」(TERRADA ART COMPLEX、2018)、「引込線/放射線」(第19北斗ビル・旧市立所沢幼稚園、2019)などがある。

冨井大裕 THOT ブックエンド、ポスター(オフセット印刷、デザイン=川村格夫)、台座 2018 写真=柳場大 (C) Motohiro Tomii, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 そんな冨井の個展「彫刻になるか?―ノート、箒、BAR」が、長野・松本市のマツモトアートセンター GALLERY、awai art center、kulwaで開催される。会期は12月1日~14日。

 本展では冨井の実践の多様な側面を、3会場で複合的に紹介。2会場ではよりミニマルな形式による新作を発表し、1会場は「引込線/放射線」で展開した《バーノーザンライト》をはじめとした近作で構成。「ある場に置かれたかたちをきっかけに人が集うとき、そこに彫刻は立ち上がるのか?」と問う冨井の、機知と批評性のあいだに開かれる世界の経験としての彫刻をみることができるだろう。

個展「線を借りる」(void+、2018)の会場風景 写真=柳場大 (C) Motohiro Tomii,Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 なお本展ではトークイベントも行われるほか、OOTE41221では信州大学人文学部芸術コミュニケーション分野による関連プログラム「 ART meets M - Matsumoto, Munching and Mochizuki K -」が開催。松本ゆかりの芸術家・望月桂(1887~1975)についてのリサーチを起点に、アートと松本、そして食をめぐる研究成果の公開や関連展示などを展開する。こちらの会期は12月7日~12日。