宮本隆司は1947年東京生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業後、建築雑誌の編集を経て、75年に写真家として独立した。86年に建築の解体現場を撮影した宮本の代表作《建築の黙示録》、88年に香港の高層スラムを撮影した《九龍城砦》を発表。
96年には第6回ヴェネチア・ ビエンナーレ建築展に参加し、阪神淡路大震災によって破壊された建築を撮影した写真作品を展示。同作で金獅子賞を受賞した。このほか第14回木村伊兵衛写真賞(1989)、第55回芸術選奨文部科学大臣賞(2005)、紫綬褒章(2012)を受賞するなど高く評価されている。
04年に世田谷美術館で個展を開催したほか、国内外のグループ展にも数多く参加してきた宮本。近年では建築空間をとらえた写真作品の発表だけではなく、両親の故郷である徳之島でアートプロジェクトのディレクターとして取り組むなど、活動に新たな展開を見せている。
そんな宮本の個展「いまだ見えざるところ」が、恵比寿の東京都写真美術館で開催中だ。本展は、宮本の活動初期の作品から徳之島で撮影された作品までを通して、人間とその生活をしている場について展観するもの。
また現在、六本木のタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムでも宮本の個展「建築の黙示録」を見ることができる。こちらもあわせてチェックしたい。