被災の経験をもとに、精神の極限を見つめて。志賀理江子が新作個展「ヒューマン・スプリング」を開催

写真家・志賀理江子の個展「ヒューマン・スプリング」が、恵比寿の東京都写真美術館で開催される。本展では、いまを生きる人々の心身の衝動や反動などに焦点を当てた新作群を、等身大を超えるスケールの写真インスタレーションとして発表するという。会期は3月5日~5月6日。

志賀理江子 ヒューマン・スプリング 2018 発色現像方式印画 作家蔵 © Lieko Shiga

 志賀理江子は1980年愛知県生まれの写真家。2000年に東京工芸大学写真学科を中退後、渡英。04年にロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アーツ・デザインを卒業し、08年より宮城県を拠点としている。

 11年の東日本大震災で被災したものの、志賀は制作を続け、「螺旋海岸」展(せんだいメディアテーク、2012)、「ブラインドデート」展(猪熊弦一郎現代美術館、2017)と、2度の個展を開催。そのほか、15年の「In the Wake」展(ボストン美術館)や「New Photography 2015」展(ニューヨーク近代美術館)といった注目のグループ展にも参加するなど、精力的に活動を行っている。

 志賀は、展覧会参加のため06年に東北を初訪問。その2年後より宮城県に移住し、同地に暮らす人々と出会いながら作品を制作するなかで、長く厳しい冬を打ち破るような東北の春に惹かれていったという。

 東日本大震災により、変わりゆく季節から溢れ出る強烈な生のエネルギーが、同時に「死」を抱え込んでいることを実感した志賀。人間があらゆる位相で様々なイメージを求め続ける理由の源をそこに見出して以来、それらが社会にどう繋がれているのかを追求している。

 今回、恵比寿の東京都写真美術館で開催される個展「ヒューマン・スプリング」で、志賀は精神の極限を見つめ、現代における社会と個人、自然と人類の関わりを編み直すことを試みる。いまを生きる人々の心身の衝動や反動などに焦点を当てた新作群は、日本各地の様々な年代や職業の人々との協働で撮影されたもの。本展では、それらを等身大を超えるスケールの写真インスタレーションで構成するという。

志賀理江子 ヒューマン・スプリング 2018 発色現像方式印画 作家蔵 © Lieko Shiga
※本展図録より。本展ではインスタレーション上、作品はトリミングの可能性あり
志賀理江子 ヒューマン・スプリング 2018 発色現像方式印画 作家蔵 © Lieko Shiga
※本展図録より。本展ではインスタレーション上、作品はトリミングの可能性あり

編集部

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