「へそまがりな感性」をテーマに、江戸絵画から現代のヘタウマ漫画までの「もうひとつの美術史」をたどる展覧会が、府中市美術館で開催される。
本展では中世の水墨画までさかのぼり、「へそまがり」な絵画の数々を紹介。破天荒な水墨画で知られる雪村の《寒山図》や、江戸時代の禅僧・白隠慧鶴による《すたすた坊主図》に見られる人物のほか、「ヘタウマ」な動物たちの姿にも焦点を当てる。
また、「奇想の画家」の作品も多数登場。動物の特徴をとらえて描いた長沢蘆雪や、都落ちする帝の切なさを繊細な線で描いた曽我蕭白の作品をはじめ、伊藤若冲が力を抜いて描いた様子が伝わる《福禄寿図》《伏見人形図》などが一堂に会する。
それに加え、今回は仙厓が最晩年を過ごした博多・幻住庵の《豊干禅師・寒山拾得図屛風》、京都・麟祥院の《雲竜図襖》の2つの大作が展示。子虎や竜が描かれた名刹の作品を、東京で見ることができる。
本展ではこうした江戸時代の絵画に加え、アンリ・ルソーの作品や、江戸幕府の三代将軍・徳川家光による絵画も紹介。必ずしも完璧とは言えないが、思わず心惹かれる「へそまがり」な作品の数々から、新たな日本美術の味わい方が見えてくるかもしれない。