日中文化交流協定締結40周年を記念した特別展「三国志」が、上野の東京国立博物館で開催される。およそ1800年前、後漢王朝の混迷に端を発し、幾多の武将の栄枯盛衰とともに記録され、のちに歴史性を帯びた伝説となって普及した「三国志」。本展は「リアル三国志」を合言葉に、漢から三国の時代の文物を最新の成果によって紐解くことを試みるものだ。
近年の三国志をめぐる研究は、曹操高陵(そうそうこうりょう)の発掘など、空前の活況を呈している。2009年には、河南省安陽市で曹操を葬った墓「曹操高陵」が発見され、現在も国内外の学者たちによって調査研究が続いており、本展では、この曹操高陵の実像に迫ることができる。そして三国志研究史上最大の成果であり、海外初出品となる河南省の曹操高陵出土品や、呉の皇族クラスの墓と目される上坊1号墓など、最新の発掘成果を含めて三国志の実像を一望できる内容となる。
本展は「プロローグ:伝説のなかの三国志」「第1章:曹操・劉備・孫権 英傑たちのルーツ」「第2章:漢王朝の光と影」「第3章:魏・蜀・呉 三国の鼎立」「第4章:三国歴訪」「第5章:曹操高陵と三国大墓」「エピローグ:三国の終焉ー天下は誰の手に」の7部構成。「三国志」という伝説が、やがて人々の親しむところとなり、詩文や絵画が生まれ、多彩な「三国志文化」を育んできた軌跡をたどっていく。