2019.3.20

未知の領域と接続するアート。平川紀道が個展「human property(alien territory)」で最新作を発表

平川紀道の個展「human property(alien territory)」が、東京・六本木のYutaka Kikutake Galleryで開催される。会期は3月22日〜4月27日。

© Norimichi Hirakawa, Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery
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 平川紀道は1982年生まれ。2005年に多摩美術大学情報デザイン学科情報芸術コースを卒業し、07年に同大学大学院デザイン領域情報デザインを修了した。

 同大学在学中の04年より、コンピュータ・プログラミングによるリアルタイム処理を用いた映像音響インスタレーションを中心に、国内外の美術展やメディア・アート・フェスティバルで発表してきた平川。その作品は、アルス・エレクトロニカ2008準グランプリや第22回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞するなど高く評価されている。

 16年には、Kavli IPMU(カブリ数物連携宇宙研究機構)における滞在制作を行い、これを機に高次元空間における美をテーマとした映像と音響によるプロジェクト「datum」を展開。同プロジェクトは、豊田市美術館や札幌国際芸術祭プレイベントで発表してきたほか、現在も「六本木クロッシング2019」(〜5月26日、森美術館)で展示中だ。

© Norimichi Hirakawa, Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery

 そして今回、東京・六本木のYutaka Kikutake Galleryで開催される個展「human property(alien territory)」は、月面の地形データのなかから、特定の文字列として読むことのできる部分を探し、そのプロセスから「意味」の意味について考える新作《Find ‘unicorn’s on the far side of the moon》を含む4作品で構成。

 コンピュータ上のあるメモリ領域で処理することのできない数に達しプログラムが破綻するまで、アルファベットの文字列を生成し続けながら、そのなかに現れる実在の人名をハイライトで表示する作品《knowns》(2015)と、4次元空間における球面を2次元に投影した作品《S³》(2017)のアップデート版、そしてYCAM(山口情報芸術センター)で制作された、インタビューに答える女性達のポートレートから、特定の人物としてしか実在し得ない人間の像に迫ろうとする《unknowns》(2013)の最新版を見ることができる。