60年代の思想を席巻した写真同人誌。『プロヴォーク』復刻版に関する展覧会が開催

「思想のための挑発的資料」として、1960年代に大きな影響を与えた写真同人誌『プロヴォーク』。いまは入手困難な同誌を古書店の二手舎が復刊し、この復刻版に関する展覧会が昨年末台湾で開催された。そして今回、同展が東京・恵比寿のPOSTに巡回する。会期は2月16日~3月10日。

メインイメージ

 写真家の中平卓馬と高梨豊、美術評論家の多木浩二、詩人の岡田隆彦によって、1968年に創刊された写真同人誌『プロヴォーク』。写真、詩、エッセイから構成される同誌は、「思想のための挑発的資料」というサブタイトル通り、政治や革命を取り巻く状況が激しく動いた60年代末の思想を反映したものであった。

 第2号からは、写真家の森山大道も参加。第3号をもって発行は終了したものの、掲載された写真のスタイルは、いずれも「アレ・ブレ・ボケ」と称されるほど、不鮮明かつ攻撃的なイメージを持つものであり、同時代に大きな影響を与えた。

 誌上では、写真とあわせて中平、多木、岡田による批評的なテクストも掲載された。その内容は、いわゆる写真批評にとどまらず、芸術や文化全般、さらには政治、思想までを射程に入れたものであった。

©️Yosuke Taki for the photographs by Koji Taki
©︎ Daido Moriyama

 いまは入手困難な『プロヴォーク』を復刊したのが、古書店である東京・世田谷の二手舎であり、このプロヴォーク復刻版に関する展覧会が、昨年末に台湾で開催された。そして今回、同展の巡回展が、東京・恵比寿のPOSTで開催される。

 本展は、大きく分けて「プロヴォーグに参加していた同人たちのヴィンテージを含む写真集、プロヴォーグに関連する資料や書籍の展示販売」「プロヴォークオリジナル版の原本、復刻版制作時に使用したマテリアルの展示」「プロヴォーク復刻版のメイキング映像(映画監督・五十嵐耕平による製作)の上映」の3つのセクションで構成される。

 「読書室」がコンセプトという展示空間は、古道具屋「LET' EM IN」と協働によるもの。厳選されたソファや照明などを用いた心地よい空間で、プロヴォークについていま一度再考できる機会となる。

 また、オープニング/クロージングイベントではトークショーも実施。詳細は公式ホームページをチェックしてほしい。

©️Gen Nakahira for the photographs by Takuma Nakahira

編集部

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