戦後に生み出されたフォトコラージュ、そのイメージの源泉を追って。岡上淑子の個展が東京都庭園美術館で開催
1950〜56年のわずか7年間に数多くのフォトコラージュ作品を生み出したのち姿を消したため、知る人ぞ知る作家となった岡上淑子。その個展「岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟」が、東京・目黒の東京都庭園美術館で開催される。会期は2019年1月26日〜4月7日。
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幻想のコラージュ作家、岡上淑子(おかのうえ・としこ)をご存知だろうか?
岡上淑子は1928年高知県生まれ。終戦後の50年に文化学院デザイン科へ進学し、「コラージュ」という技法に出会う。そして、その後わずか7年のあいだに約140点ものコラージュ作品を制作。当時、日本におけるシュルレアリスムを主導した瀧口修造に見出され、マックス・エルンストの影響を受けてその表現は奥行きを広げてゆく。
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瀧口の企画による2度の個展開催や、「抽象と幻想」展(東京国立近代美術館、1953)への出展も果たした岡上だったが、57年の結婚を期に美術界から姿を消してしまう。しかしその後、2000年に開催された第一生命ギャラリーでの個展「岡上淑子フォト・コラージュ―夢のしずく」で、その作品は再び注目を浴びることとなる。
現在岡上の作品は、東京都国立近代美術館、東京都写真美術館をはじめ、海外の美術館でもコレクションされている。今回の「沈黙の奇蹟」展では、海外でもっとも多くの岡上作品を有するヒューストン美術館から、12点のコラージュ作品が出展される。
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また本展では、瀧口修造から岡上に送られた書簡や貴重な記録写真のほか、東京で洋裁を学び、戦後に連合国軍が残した『LIFE』や『VOGUE』を素材とした岡上作品と結びつく50年代ファッションも紹介。ディオールやバレンシアガといったデザイナーが登場し、百花繚乱の様相を呈した時代に制作されたドレスも参考展示される。
戦後復興期の時代を反映した報道写真による背景と、前景に浮かび上がる当時最先端のモードが描く対比による独特の美を、この機会に堪能したい。