EXHIBITIONS

エキゾティック×モダン アール・デコと異境への眼差し

2018.10.06 - 2019.01.14

ルイ・ブーケ 黒いアフリカ 1931 Ville de Boulogne-Billancourt, Musée des Années 30 © Musées de la Ville de Boulogne-Billancourt Photo : Philippe Fuzeau

ポール・ポワレ ローブ 藤田真理子・ポール・ジュリアン・アレキサンダー蔵

フランソワ・ポンポン シロクマ 1923-33 群馬県立館林美術館蔵

 両大戦間期のフランスで花開いたアール・デコ。当時のパリは、1909年の登場から瞬く間に人気となったロシア・バレエ、25年に時代のアイコンとなったアメリカのダンサー・ジョゼフィン・ベイカー、ツタンカーメン王墓の発見、自動車メーカー「シトロエン」が行った大陸横断プロジェクト、そして31年開催のパリ国際植民地博覧会など、様々なトピックで賑わい、アール・デコの美意識と造形にも大きな影響を与えた。

 ファッションの分野では、パリを初めて訪れる異なる文化圏の人々や文化にいち早く注目。パリ随一のファッション・デザイナーで、ピカソら前衛美術家たちのパトロンでもあったジャック・ドゥーセは、アフリカ美術の造形にも革新的価値を見出していた。また、ポール・ポワレは中近東風の衣装による夜会「千二夜」を開くなど、その非日常性に着目。モダニティーを触媒として、ジャポニスムといったアジアの動向を再解釈し、色彩やスタイルの刷新につなげた。これらの背景には、建築家でデザイナーのアイリーン・グレイや装飾美術家のジャン・デュナンらに漆を教えた菅原精造など日本人美術家の存在もあった。

 本展では、アフリカやアジアに取材したダイナミックな絵画、彫刻を含め、30年代美術館、装飾美術館、モビリエ・ナショナルなど、フランスの美術館が所蔵する、国内初公開作品を中心とした約85点を紹介する。