36歳という若さで世を去った画家・松本竣介(1912~48)。中学時代に聴力を失い、やがて絵画を志した松本は17歳のときに上京。戦中戦後の困難な時代のなかでも明確な意志を貫き、死の間際まで精力的に活動を行った。
身近なもの、風景、人物が描かれた静謐な絵画空間で、いまもなお多くの人々を魅了しつづける松本作品。今年から来年にかけて、群馬県桐生市の大川美術館では、松本の没後70年および大川美術館開館30周年記念企画として、「アトリエの時間」「読書の時間」「子どもの時間」「街歩きの時間」の4つのテーマに沿って、松本の展覧会を開催している。
その幕開けとなる展覧会「アトリエの時間」が10月13日にスタート。本展では、当時のアトリエと同じ大きさのスペースが設けられ、イーゼル、パレット、机、500件におよぶ書籍に加え、アトリエに置かれていた壺や古道具、ペンにいたるまで、総計70件を超えるモノが作品とともに展示されている。
松本が生前に多くの時間を過ごした「アトリエ」という空間で、松本の思索の時間に寄り添いながら作品を鑑賞することができるだろう。