漂流の前衛作家・佐々木耕成が目指した「美術の変革」とはなんだったのか? 郷里の熊本県立美術館で個展が開催中

1960年代に前衛美術グループ「ジャックの会」の中心人物として活動し、今年4月に逝去した佐々木耕成の展覧会「変革の煽動者 佐々木耕成アーカイブ」が、熊本県立美術館で開催中だ。会期は12月16日まで。

アトリエでの佐々木耕成 2017

 今年4月に逝去した作家、佐々木耕成をご存知だろうか。

 佐々木は1928年熊本県に生まれ、60年代の東京で前衛美術グループ「ジャックの会」のリーダーとして活動。67年の渡米以降消息を絶ったが、2000年代初頭には群馬県で制作活動を再開。数多くの絵画作品を手がけた。  

 60年代の佐々木が目指したのは「美術の変革」。前衛美術を社会に根付かせるという目的のもと、「ジャックの会」は作品を「商品」として販売。また、街頭パフォーマンスを行うなど周囲の人々を扇動し、その活動に巻き込んでいった。

佐々木耕成 無題 2017 個人蔵

 しかし当時の作品は、保存を前提としないインスタレーションやパフォーマンス、企画などが中心。絵画作品も佐々木の手によって破棄されたために、ほとんど現存していないという。そのため本展では、膨大な記録写真や「ジャックの会」に関する資料を中心に構成。また、2000年代初頭から制作された近作・最新作の絵画作品も展示され、佐々木の足跡をたどることができる内容となっている。

 なお、作品解説に加えて佐々木自身や関係者へのインタビュー、資料の数々を収録した図録も販売中。こちらもあわせてチェックしたい。

編集部

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