興梠優護(こうろぎ・ゆうご)は1982年熊本県生まれ。2009年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻版画研究領域修了。これまで、物事の「根源性」を制作の主軸とし、融解するような人体のモチーフをメインに、海、光、生命といった曖昧なもの、計り知れない無限性を描くことを試みてきた。
2017年に成山画廊で開催した個展では、油彩、水彩、デッサン、コラージュといった大小様々な作品を、壁面全体を埋めるように展示。作品どうしが相乗的効果を生む空間を目指した。
これまでイギリス、ドイツ、スペインなど各地を滞在するなかで、文化・宗教、または時代や国を超えて存在する普遍的な存在への憧憬を抱くようになった興梠。そして、言葉では説明することの難しい感情の起伏、感性の揺らぎを絵画によって掬いとることが、普遍性への第一歩になると考えているという。
本展では、今年、スペイン全土を巡るリサーチと滞在制作を行った興梠が、人間の歴史性、呪術的要素、異国の空気感などを取り入れ描いた絵画作品を発表する。
作家に訪れたひとつの変革期の中で生み出された新作に注目したい。