手で見る造形、触覚的な彫刻。中ハシ克シゲの作品に触れられる展覧会が兵庫県立美術館で開催中

彫刻作品に触れて鑑賞する展覧会「美術の中のかたち―手で見る造形 触りがいのある犬―中ハシ克シゲ」が兵庫県立美術館で11月4日まで開催中だ。これまで金属彫刻などを手がけてきた中ハシ克シゲが、これまでとはまったく異なる作風に挑み、「触れられる彫刻作品」を発表している。

製作途中の「触りがいのある犬」に触れる

 兵庫県立美術館では1989年から、作品に手で触れることで鑑賞できる「美術の中のかたち―手で見る造形」というシリーズ展をほぼ年に一度のペースで開催している。毎回様々なアプローチを行い、視覚優位の美術鑑賞のあり方そのものを問う機会となってきた。

 第29回目となる 同展では、金属彫刻や「ゼロ・プロジェクト」で知られる中ハシ克シゲを出展作家に迎える。

 中ハシ克シゲは、1955年香川県生まれ。80年代に身近な人物や動物をモデルにしたブロンズ彫刻を制作し、90年代からは松や力士など、日本的なモチーフをテーマにしたポップかつキッチュな金属作品で注目を集めた。90年代末からは、プラモデルのゼロ戦を接写・拡大した写真プリントを貼り合わせて制作した戦闘機を展示・焼却する「ゼロ・プロジェクト」を国内外で展開。近年は自身の原点である塑造に立ち返り、粘土による作品を制作している。

 同展出品作品の制作では、中ハシは日々触れ合っている愛犬をモチーフにし、アイマスクをすることで視覚を遮断し、触覚だけで造形することを試みたという。

 中ハシの作品を通じ、「彫刻における触覚的なものとはなにか」という根本的問題をあらためて考えるという同展。ぜひ実際に美術館に足を運び、目だけではなく「手で見る」ことで作品を鑑賞したい。

編集部

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