EXHIBITIONS

美術の中のかたち—手で見る造形

触りがいのある犬—中ハシ克シゲ

2018.07.07 - 11.04

制作途中の《触りがいのある犬》に触れる

 兵庫県立美術館は1989年より、作品に手で触れて鑑賞できる展覧会シリーズ「美術の中のかたち―手で見る造形」を、ほぼ年1度開催。見えない人、見えにくい人にも美術鑑賞の機会を広げる目的で始まり、回を重ねる中で様々なアプローチを通じ視覚優位の美術鑑賞のあり方そのものを問う機会ともなっているという。第29回目となる今年は、作風を変化させながら、一貫して西洋流の彫刻を移植した「日本の彫刻」とは何かを問う、中ハシ克シゲを出品作家に迎える。

 中ハシは55年香川県生まれ。80年代、身近な人物や動物をモデルにした具象的なブロンズ彫刻から出発し、90年代は松や板塀など日本的モチーフを扱ったポップでキッチュな金属彫刻で注目を集める。その後、プラモデルのゼロ戦を接写・拡大し、プリントして貼り合わせたハリボテの戦闘機を展示・焼却するという「ゼロ・プロジェクト」 を国内外で展開。近年は、自身の原点である塑造に立ち返り、粘土による実験的な制作を続けている。

 同展では、視覚を遮断し、触覚だけを頼りに手がけた、愛犬がモチーフの作品を展示。見た目を度外視した、「触りがいのある彫刻」は、見えない人にも見えにくい人にも、見える人にも新鮮な驚きを与えてくれるだろう。