2018.6.9

中国で80万人を動員した
「醍醐寺展」が東京と福岡で開催。
重厚な密教美術の世界を体感する。

平安時代から近世に至る醍醐寺の歴史と美術をたどる「京都・醍醐寺展 ー真言密教の宇宙ー」が、東京・六本木のサントリー美術館と福岡・太宰府の九州国立博物館で開催される。会期は2018年9月19日〜11月11日(東京)、2019年1月29日〜3月24日(福岡)。

豊臣秀吉像 江戸時代 醍醐寺蔵 画像提供=奈良国立博物館 撮影=佐々木香輔
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 京都の山科にある醍醐寺は、真言密教のうちでも特に加持祈祷や修法(すほう)などの実践を重視する寺として発展。その本尊である彫刻や絵画、修法で用いる仏具など、9世紀の開創時からの名宝が現在にわたって数多く伝えられている。

 2016年には、国宝・重要文化財に指定されている仏像や仏画をはじめとする文書・書跡などの寺宝を初めて中国で展示。醍醐寺の繁栄の歴史をたどる展覧会が上海と西安の2都市で催され、来場者はのべ80万人以上を記録した。

国宝 薬師如来坐像 平安時代 醍醐寺蔵 画像提供=奈良国立博物館 撮影=佐々木香輔

 今回東京と福岡の2会場で開催される「京都・醍醐寺展 ー真言密教の宇宙ー」は、中国での展覧会成功を記念し、同寺の密教美術の至宝を紹介するというもの。国宝・重要文化財に指定されている仏像や仏画を通じて、平安時代から近世にいたる醍醐寺の変遷をたどることを試みる。

 桃山時代に豊臣秀吉が行った「醍醐の花見」の関連作品や、三宝院の襖絵、俵屋宗達による屏風なども紹介される本展は、醍醐寺をめぐる華やかな近世美術が鑑賞できる機会となるだろう。

国宝 五大尊像のうち不動明王 鎌倉時代 醍醐寺蔵 画像提供=奈良国立博物館 撮影=佐々木香輔