NEWS / REPORT - 2018.4.18

東京で運慶を感じる。
「半蔵門ミュージアム」がオープン

東京・半蔵門駅からほど近くの場所に4月19日、「半蔵門ミュージアム」がオープン。運慶の傑作とされる《大日如来坐像》の常設展示を行うなど、仏教美術品が無料で一般公開となる。

常設展示より、運慶作とされる重要文化財《大日如来坐像》(12世紀)

常設展示より、運慶作とされる重要文化財《大日如来坐像》(12世紀)

 真如苑(東京・立川市)所蔵の仏教美術を一般に公開することを目的とした文化施設「半蔵門ミュージアム」が4月19日、新たにオープンする。設計を手がけたのは、「平等院宝物館鳳翔堂」などを代表作とする建築家・栗生明。落ち着きある空間でゆったりと作品を見ることのできるこのミュージアムについて、同施設主任学芸員の岡崎寛徳は「スペースとしては小規模ながらも開かれた施設になってほしい」と話す。

常設展示の様子

 地下1階から地上3階まで、それぞれに展示や映像コンテンツが用意されたミュージアム。見どころの一つは、運慶作と推定される重要文化財《大日如来坐像》や、ガンダーラの仏伝図浮彫りを常設し、仏像や仏画、経典などが定期的に入れ替えられる地下1階のギャラリーだ。同施設の館長を務める仏像美術史学者・水野敬三郎が「東京で唯一、運慶作品に常時会える場所」と話す通り、運慶の傑作とされる作品をいつでもで見ることのできる貴重な常設スペースになっている。

展示風景より常設展示の重要文化財《不動明王坐像》 (12〜13世紀) 
展示風景より常設展示の《両界曼荼羅 覚仙筆》 (1706) 

 《大日如来坐像》が展示される常設スペースの一部は「祈りの世界」と題され、醍醐寺中興の祖・義演と豊臣家にもゆかりの像である《不動明王坐像》なども並置。礼拝の対象として人々が願いを込めてきた彫刻、絵画が展示されている。

展示風景より特集展示の《真言八祖像》(8面のうち4面、16世紀)

 真如苑の平島進史は、現在真如苑が所蔵する作品219点の多くが寄贈によって成り立ち、「宗派・ジャンルを超えた作品が集まっている。多様性を感じてほしい」と述べる。「特集展示」のエリアでは、これら219点の作品を年に3〜4の企画を通して紹介。4月19日〜7月29日の間は「神護寺経と密教の美術」として、平安時代の装飾経である神護寺経とその経帙、後醍寺を開いた聖宝が自筆署名した貴重な書状などを紹介する。

展示風景より。左から《出城》《梵天勧請》(いずれも2〜3世紀)

 いっぽう、常設スペース内「ガンダーラの仏教美術」では、ガンダーラ(現在のパキスタンとアフガニスタン)でつくられた仏教美術を紹介。東西文化の交流・融合の象徴ともいえる仏像、ブッダの前世の物語を刻んだ本生図、ブッダの生涯・エピソードを表現した仏伝図などが集まっている。

2階マルチルームの展示風景より

 半蔵門ミュージアムの2階では図書閲覧や休憩が可能なラウンジ、多目的に利用できるマルチルームを設置。マルチルームでは現在、《大日如来坐像》の像内CTスキャンデータやX線写真画像などで明らかになった調査結果や、他の運慶像との比較を通じて同像の特徴と他の運慶作品との共通点を紹介する「当館の大日如来坐像と運慶作品-その納入品と像内荘厳」が開催中だ。

半蔵門ミュージアムの入り口

 そのほか3階では、仏教文化に関する映像を楽しめるシアターと、講座などを開催するホールを併設。シアターでは現在、《大日如来坐像》の特徴が高精細映像が上映されている。

 仏教美術の多様性を無料で知ることのできる、新たな注目スペースに足を運んでみてはいかがだろうか。