東京・国立市に企画画廊「Gallery Yukihira(ギャラリー・ユキヒラ)」 が開廊する。若手美術家に発表の場を与えるとともに、多数のギャラリーが並ぶ国立にてこれまでにない交流の場としての機能を展開していくという。
代表の福嶋幸平は1989年東京都生まれ、横浜美術大学卒業。美術家としての活動と平行して2015年より展示の企画や運営を行ってきた。主な企画として「新章風景#2 -現代における風景写真の在り方-」(東京都美術館、2017)などがある。Gallery Yukihiraと同スペース内に開設したクリエイティブスペースshuuueの代表を兼任するとともに、横浜美術大学非常勤講師も務めている。
そのこけら落としとなる展示は大槻香奈の個展展「人形と幽霊」。
大槻香奈は84年京都府生まれ。現在は東京を中心に活動をしており、嵯峨美術大学客員准教授を務めている。07年より活動を開始し、月に約一度のペースで、国内外問わず様々な場所で展覧会を開催している。主にアクリル絵の具を使用した平面作品を中心に、少女・蛹・家など、自身の興味の対象である「から」(空・殻)、空虚さを感じるモチーフを通して、現代日本の情景を捉えようとしている。書籍の装画やCD ジャケット等にも作品を提供するなど、イラストレーターとしても活躍の場を広げている。
本展では、近年大槻が描いている「家」や「民芸品」からの系譜にもあたる「人形」と「幽霊」をテーマに据え、日常の中にある「気配」に意識を向けて制作した作品が展示される。
大槻は本展について、「日常の中にある『気配』というものに意識的になったのはここ最近の事である。私は『家』という制作テーマを通して、自分の精神を成り立たせているものが一体何なのかを探っていた。その過程で、人の精神というものは、古くから馴染みのある場所やモノが持つ気配に支配されている部分があるのではと感じるようになったのだ」と語っている。
武蔵野美術大学や一橋大学、東京学芸大学など多くの大学からもほど近い国立市に開廊するGallery Yukihira。大槻香奈展をはじめとする今後の展開に期待したい。