科学で説明できないフィクション。
ダニエル・アーシャム展が
都内2ヶ所で同時開催

東京・渋谷のNANZUKAで、ダニエル・アーシャム展「アーキテクチャー・アノマリーズ (Architecture Anomalies)」が開催。元来の科学的常識では説明できない逸脱現象を用いた新作が並ぶ。また本展は、ペロタン東京での「カラー・シャドウ (COLOR SHADOWS)」との同時開催展となる。会期は5月23日〜6月30日。

© Daniel Arsham Courtesy of NANZUKA

 ダニエル・アーシャムは1980年アメリカのオハイオ州生まれの美術家。現在はニューヨークを拠点に活動をしている。アーシャムの作品は、「Fictional Archeology」(フィクションとしての考古学)というコンセプトに基づいており、その表現は立体、ペインティング、インスタレーション、そしてパフォーマンスなど多岐にわたる。

 アーシャムは建築と地学に対する根強い興味関心を持っており、建築プロジェクトユニット「スナーキテクチャー」の共同主宰者としても活動中。どこにもたどり着くことの無い階段や、人工的構造物を覆い尽くす樹木など、見る者の困惑を促す空間をつくるための新しい素材の探求と実験を繰り返している。

 日常的にモチーフを注意深く発見し作品に還元していくことで、非現実的な世界を生み出すアーシャムは、これまでニューヨークの現代美術センターPS1やマイアミ近代美術館で展示を行ってきたほか、アテネ・ビエンナーレなどの国際展にも参加してきた。

 「アーキテクチャー・アノマリーズ」 (建築の異常)と題された本展は、「浸食された壁」「壁と同化した布」「身体性を連想させるだけの布」を用いて新作インスタレーションを構成。展覧会タイトルの通り、「科学的常識や原則からは説明できない逸脱、偏差を起こした現象を含む構造」をテーマに制作された作品群が並ぶ。

 のびのびとした新鮮さを持ちながら怪異さを持ち合わせるアーシャムのインスタレーションは、「空間とアートの相互関係」への根本的な問いを見る者に投げかけ、人間の視覚認識と身体感覚を揺さぶるだろう。

編集部

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