印刷物とアートの関係を考える、
慶應で雑誌『アヴァランチ』展

コンセプチュアル・アートの登場といった1970年代のアートの動向を取り上げた雑誌「アヴァランチ」を通じて、印刷物とアートの関係を考察する展覧会「なだれうつ!アヴァランチ アート・アーカイヴ資料展XV」が、慶應義塾大学アート・スペースで3月17日まで開催されている。

『Avalanche』1号の表紙:ボイス

 雑誌『アヴァランチ』(Avalanche、フランス語で「雪崩」の意)は、ニューヨークを拠点に活動していたインディペンデント・キュレーターのウィロビー・シャープと編集者のリザ・ベアによって、1970年から76年にかけて不定期に計13号が刊行された。

 1960年代以降、コンセプチュアル・アートの登場は、アートの素材や領域を拡大させた一方で、雑誌や新聞、カタログなど印刷物に対する新しいアプローチをもたらした。とりわけ雑誌は、定期刊行物として広く流通することから、60年代後半にはアートが紙面に介入するような試みがなされている。

 そのような流れのなかで、『アヴァランチ』は多くのアーティストが関わり、雑誌全体がある意味で作品となるよう、批評家などによるテキストではなく、ヨーゼフ・ボイス、リチャード・セラといったアーティストのインタビューを掲載。コンセプチュアルな傾向を強めていたアーティストたちの思考を伝達する媒体として機能させ、特徴的なレイアウトも印刷物であることを意識させている。

 本展では、『アヴァランチ』を紹介するとともに、印刷物とアートの関係を通して、今日の美術作品のあり方について再考する。

編集部

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