INSIGHT / PROMOTION - 2023.7.19

文化やアートでメンタルヘルスを問い直す意義とは? 「マインドスケープス東京」の事例から

 

菊池宏子

総括する座談会を取り仕切ったのが、NPO法人インビジブル理事長でマネージング・ディレクターの林曉甫。「昨今のソーシャリー・エンゲージド・アートのように、鑑賞して愛でる対象としてのアートから、社会により包括的に関わる文化芸術のあり方を考える必要」を「マインドスケープス東京」の活動を通じて再認識したと話す

コンビーニングでは、精神保健福祉士、心理カウンセラー、看護師でもある研究者、弁護士など、様々な立場の専門家の話を聞く機会があった 撮影=冨田了平

2011年の震災の被災地である福島県富岡町で実施したコンビーニング 撮影=冨田了平

「富岡町に行ったことで、『被災地』というどこか遠い場所として他人事にはできなくなった」と話すアーティストの飯山由貴

インビジブルのインターンで、コンビーニングに参加した高校生の唐川麻祐子。「高校生など若い子の声は、社会であまり聞いてもらえない印象を持っていましたが、インビジブルでインターンとして働いていると、自分の意見も聞いてもらえている実感があります」。もともと人見知りだったという彼女は、インビジブルに参加して以降、人前で話すことにも慣れてきたと話す

角川ドワンゴ学園 N高等学校・S高等学校の経験学習部という課外学習のプログラムを企画運営する部署にかつて所属し、在職中に担当した「UI都市調査プロジェクト」を継続して引き受けた富樫多紀は総括ミーティングにリモートで参加。「ユースとして参加する若い子たちにとって、目的や結果がわかったうえの予定調和で物事が進んでも面白くないと思うんですよ。そこを意識して進めることは大事だと感じました」

調査を通して作品制作を行う3チームとは別に、美術家、映像ディレクターの西野正将が「記録撮影」チームを率いた

インタビュー撮影の練習をする「映像」チームのユース調査員たち

建築倉庫WHAT MUSEUMで「建築模型展—文化と思考の変遷—」展(会期:2022年4月28日〜10月16日)を鑑賞する「日本建築」チーム。右がリード調査員の林敬庸 撮影=西野正将

「日本建築」チームのユース調査員が制作した「究極の寝床」の模型 撮影=西野正将

「日本建築」チームのユース調査員が制作した「究極の寝床」の模型 撮影=西野正将

韓国からの留学生で、インビジブルでインターンとして参加し、現在は大学に通いながらスタッフとしてアルバイトで働くイ・ユビンは「韓国の教育環境は画一化されている部分があるので、自分が高校生のときに『マインドスケープス』のような正解がない問いかけに向き合うプロジェクトに参加できたらよかったです」と話す

「食」チームにユース調査員として参加した國田葵。「ひとつの話題について調査員同士で話したり、考えたりするだけでもメンタルヘルスにとって良いことだと感じるようになりました」

「みそしる点前」に使う味噌玉づくりの模様 撮影=西野正将

「UI都市調査プロジェクト」の運営に携わったインビジブルの荒生真美。「同世代の子を持つ母親としての視点で正しい方向に行かせようとするのではなく、彼らなりのタイミングで動くのを待つことが必要だと気づくことができました」

飯山由貴《影のかたち:親密なパートナーシップ間で起こる力と支配について》(2022) Courtesy ウエルカム財団(ロンドン)、WAITINGROOM(東京)
「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」(森美術館、東京、2022)の展示風景より 撮影=来田猛 画像提供=森美術館

NIMHANS中庭の様子 撮影=菊池宏子

NIMHANSで入手した会報を手に、インドでの交流を振り返る

日本学術振興会特別研究員の登久希子

林曉甫と菊池宏子

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編集部