クリエイターが自衛するために
──これからの時代、作家性を守りながら発信を続けるにはどうすべきでしょうか。
福井 ここまで規約に関するお話をしましたが、規約自体はすぐに変わるものでもありません。
規約がすぐに変わらない以上、技術的な自衛も必要です。例えば初歩的な対応でできることとして、コンテンツをアップするウェブサイトの「robots.txt」(*2)に、対象AIによる学習を拒否する“Disallow”の命令を書き込むこと。SNSのプロフィール欄に「AI学習禁止」と書いてもAIは読みませんが、技術的な記述は一定の効果があります。また、拡散力は落ちますが、ID・パスワードで保護された場所に作品を置くのもひとつの手段です。
──最後に万が一、権利を侵害されたと思った場合はどうすればよいでしょうか。いま、個人のクリエイターが取ることのできる現実的な対処法について教えてください。
福井 先述の通り、出力についていえば、現時点では「作風の模倣」だけで訴えるのは困難です。作風を超えて、もし自分の作品と酷似した画像を見つけた場合は、SNS各社の窓口から「著作権侵害」として削除申請を行うのが現実的な対処法です。
重要なのは、個人であれ会社であれ、自分なりの「AIポリシー」を持つことです。「学習されてもいいからより広く認知されたい」のか、「無断利用は絶対に避けたい」のか。プラットフォームの仕様や規約を正しく理解したうえで、どこまで、どう情報を出すかという「オープン・クローズ戦略」をご自身で決めることが、AIの時代を生きるクリエイターには求められるのでしょう。文化庁が発表している「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(*3)も、自身の指針を作成するうえで参考になるでしょう。
*1──X(旧Twitter)の「投稿画像をAI(Grok)で編集できる機能」を利用した不適切なコンテンツの投稿に関して、同社は2026年1月9日に声明を発表。画像編集機能を「有料プラン(X Premium以上)のユーザー」のみに限定したうえで、悪用時にはアカウントの凍結に加え、法的措置を講じる可能性も明記された。その後も、著作権侵害や公序良俗に反するリクエストを拒否する機能の強化、および年齢確認によるフィルタリング設定の導入など、対策が継続的に進められている。
*2──検索エンジンのクローラー(ボット)に対し、ウェブサイト内のどのページへのアクセスを許可・禁止するかを伝えるテキストファイル。該当するウェブサイトのURLの末尾に「/robots.txt」と入力することでファイルを表示することができる。
*3──文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)。https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/seisaku/r06_02/pdf/94089701_05.pdf



















