EXHIBITIONS

生誕120周年記念

猪熊弦一郎回顧展 美しいとは何か

猪熊弦一郎 二人の裸婦と一つの顔 1989
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館所蔵 ©︎ 公益財団法人ミモカ美術振興財団

猪熊弦一郎 バレリーナの夢想 1950
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館所蔵 ©︎ 公益財団法人ミモカ美術振興財団

猪熊弦一郎 手 フィンガーブラック 1989
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館所蔵 ©︎ 公益財団法人ミモカ美術振興財団

猪熊弦一郎 楽しい家族 1989
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館所蔵 ©︎ 公益財団法人ミモカ美術振興財団

猪熊弦一郎コレクション 撮影=高橋章

 一貫して「美」の表現を追求した画家・猪熊弦一郎(1902〜1993)。その生誕120周年を記念し、70年におよぶ画業をひも解く展覧会「猪熊弦一郎回顧展 美しいとは何か」が開催される。

 香川県高松市に生まれた猪熊は、東京美術学校で藤島武二に師事。画家として、戦前はパリ、戦後は東京、ニューヨーク、ハワイと国内外で活動。先人の偉業に学び、身近な自然や生活のなかに多くの美しいものを発見して、それらがなぜ美しいのかを研究し、新しい美の創造に挑み続けた。

「美はどこにでもある」という言葉を残した猪熊。また、「心の窓を開くことで新しい美しさが見えるようになる」とも述べている。

 本展では、猪熊が作品として生み出した多様な美と、美への思いを紹介。作品とともに、「色」「形」「単純化」「バランス」といったキーワードや、猪熊が美について述べた言葉などを掲示し、美の探究の軌跡をたどる。

 本展は、展示空間も見どころのひとつ。3階展示室の自立壁で隔てられた2つの空間のうち、いっぽうはキーワードや猪熊の言葉、解説などとともに作品を展示し、もういっぽうは作品だけを並べる。これにより、鑑賞の手がかりが欲しい人と、自分の感覚で自由に見たい人が、それぞれに好みの方法と別の方法を意識して体験することができる。

 また、1991年の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の開館にあわせて発表されたアクリル画を展示。猪熊の美の表現の集大成といえる2作品《宇宙都市休日》《手の残した言葉》、さらに同年の開館記念展ポスターとなった作品《楽しい家族》(1989)なども公開する。