EXHIBITIONS

原田裕規「Waiting for」

2022.03.11 - 04.10

原田裕規 Waiting for 2021 ©︎ Yuki Harada

 KEN NAKAHASHIでは、原田裕規による個展「Waiting for」を開催する。金沢21世紀美術館と京都芸術センターで展示されたCGアニメーション作品《Waiting for》(2021)を、ギャラリーの空間に合わせ、4Kモニターを用いて初めてフル解像度で展示する。

 原田は1989年山口県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻修了。社会のなかで広く認知されている視覚文化をモチーフに、人間の身体・認知・感情的な限界に挑みながら、現代における「風景」が立ち上がるビューポイントを模索している。

 表題作《Waiting for》に映し出されるのは、いつまでたっても何も起きることのない架空の風景。「レンダリング・ポルノ(Renderporn)」と呼ばれるCG表現の潮流に影響を受けた原田は、そこに「ゆっくり動いているような揺らぎ」を見て取った。

 いっぽうで、近年の世界に対して「何か大きな出来事が起こる前のざわめき」を感じていた作家は、レンダリング・ポルノの「揺らぎ」に、そうした「ざわめき」との類似を見出し、33時間19分にわたって何かの予感を伝え続ける《Waiting for》を制作した。

 世界全体が大きな変化のさなかにあるいま、本作に向き合うことで、その「ざわめき」の声に耳を傾けてみたい。