EXHIBITIONS

湊茉莉個展 Passage

と、バックヤードで相模原慕情

イメージビジュアル

湊茉莉 Chêne, Châtaigne(栗、樫) 2021 Photo by Stépahne Cuisset © Mari Minato – saif

相模原慕情 映像(32分54秒) 撮影・編集=安藤裕美

 パープルームギャラリーでは、パリ在住のアーティスト・湊茉莉の個展「Passage」を開催する。

 湊は1981年京都府生まれ。京都市立芸術大学・同大学院で日本画を専攻したのち、パリ国立高等美術学校に留学。壁面や建築物に抽象的なモチーフを筆で描く作風で知られる。日本での近年の個展に「はるかなるながれ、ちそうたどりて」(京都市京セラ美術館 トライアングル、2021)、「うつろひ、たゆたひといとなみ」(銀座メゾンエルメスフォーラム、東京、2019)などがある。

 本展は、アーティスト・イン・レジデンスで信楽に滞在していた湊が梅津庸一(パープルーム主宰)と出会ったことをきっかけに企画されたもの。湊が相模原を訪れて即興的に制作し、作品を発表することとなった。しかし展覧会の準備が進められるなか、パープルギャラリーが入居する建物が老朽化により取り壊しになるという知らせが入った。

 パープルームが相模原を拠点に活動を始めて8年目の、このタイミングで湊が相模原に滞在し作品をつくることは、パープルームにとって意義深いことだと言う梅津。「湊の『インスタレーション』とそれを物理的に規定する『箱』としてのパープルームギャラリー。その界面には美術・アートの成立条件、ひいては芸術の持続可能性についてのヒントが隠されているように思います」としている。

 また「バックヤードで相模原慕情」と題して、ギャラリーのバックヤードではパープルームのメンバーの安藤裕美が撮影・ナレーションを担当した動画《相模原慕情》を上映。湊の個展「Passage」と「相模原慕情」はギャラリーの仮設の壁を隔て、それぞれが別のものとして独立するが、2つはどちらも同じ期間に相模原で生み出されたものだ。作品は互いに干渉し補完し合うのか、2人によって生み出される「絵」を会場で鑑賞してほしい。