EXHIBITIONS

日本と西洋の近代美術 II /生誕100年 塩原友子 紙の命・線の力

2021.07.03 - 08.22

パブロ・ピカソ ゲルニカ(タピスリ)1983(原画は1937)(織り:ジャックリーヌ・ド・ラ・ボーム=デュルバック) 展示風景

 群馬県立近代美術館のコレクション展示の今回は、「日本と西洋の近代美術 II」(展示室2)および「生誕100年 塩原友子 紙の命・線の力」(展示室7)を開催している。

「日本と西洋の近代美術 II」では、同館の収蔵作品より、19世紀後半の印象派〜20世紀前半のエコール・ド・パリまでの西洋近代美術と、明治〜昭和の日本を代表する作家や群馬ゆかりの作家たちによる日本近代洋画を紹介。またパブロ・ピカソの《ゲルニカ(タピスリ)》を、およそ1年ぶりに公開する。

《ゲルニカ》(国立ソフィア王妃芸術センター蔵)は、1937年にスペインで起きた無差別爆撃に激しい怒りを覚えたピカソが、その直後に開催が迫っていたパリ万博のスペイン館壁画として、わずか1ヶ月あまりのあいだに描き上げた大作。群馬県立近代美術館は、この《ゲルニカ》を原画としてピカソ自身の指示に基づきほぼ原寸大で織られた《ゲルニカ(タピスリ)》3点のうちの1点を収蔵している。

 本展示では《ゲルニカ(タピスリ)》とともに、《ゲルニカ》と前後して発表された2枚組の版画《フランコの夢と嘘》、また同時代のヨーロッパで制作されたジョアン・ミロやジャン・フォートリエの版画作品もあわせて展示する。

 いっぽう「生誕100年 塩原友子 紙の命・線の力」では、群馬県前橋市出身の日本画家・塩原友子(1921〜2018)の作品を公開。塩原は、日本の風土や美意識によって培われてきた線や色彩を重視しながら、幾何学的な画面構成やコラージュの表現を取り入れるなど様々な技法や画題を試み、伝統的な日本画の枠組みにとらわれない独自の世界を確立したことで知られる。

 今回は塩原の生誕100年を記念して、写実をもとにした初期の人物画から、様々な紙を貼り付けて組み合わせるコラージュや凹凸をこすって写し取る版画のような技法を用いた実験的作品、そして絵具を削って生み出した線によって故郷の山々をダイナミックにとらえた屏風まで、その多彩な表現を紹介する。