EXHIBITIONS

袁方州 個展「虚実体 The nonentity within the entity」

2021.07.01 - 07.27

袁方州 個展「虚実体 The nonentity within the entity」より

 中国出身のアーティスト・袁方州(ユアン・ファンジョウ)の個展「虚実体 The nonentity within the entity」が、歌舞伎町にあるスペース・デカメロンで開催される。

 袁は中国遼寧省生まれ。2018年に清華大学美術学部工芸専攻を卒業したのち来日し、現在、東京藝術大学大学院工芸科博士後期課程に在籍。人・物・自然の関係性に着目し、ポスト・ミニマリズムや仏教などの東洋思想に影響された自身の哲学に基づいて、ガラス素材を中心に扱う立体や絵画、ドローイング、映像などの複数のメディアと技法を交錯させた作品を展開している。

「虚実体 The nonentity within the entity」をテーマとした本展では、ギャラリー全体の空間を使った立体、インスタレーション作品と、壁面の平面作品の新作を展示。作家は次のステイトメントを出している。
 
「私は、身近にあるものに対する印象や認識、記憶に基づき、現実と自身の視線が交錯する中で生まれる心像風景を表現しています。『現実』『記憶』『認識』『心像風景』というキーワードは、私が生まれてから現在までの様々な時間の中で、ある時期の物事に対する認識と自己の認識を、その当時みた風景に基づいて再び思い出すことで生まれた、作品制作をする上で重要になる要素です。

これまでガラスを制作の主な素材として使い、素材に対する研究をきっかけに、身近にあるものや物質を観察することを重視しています。現在、ガラスの透明性と不透明さの両面性から、ものの実体性に注目し始めました。また、作品の表現もガラスの立体作品から他素材や映像、絵画など様々な素材や技法、メディアを組み合わせながら、インスタレーション作品を展開しています。自身の作品を通して、現実にはありえない光景を描きながら、どこか親しみを感じさせる世界を作り出し、鑑賞者の想像力に働きかけたいと考えています(袁方州)」。

 会場となるデカメロンは、コロナ禍にある2020年にオープン。バーを併設したスペースを翌年にリニューアルし、現在は「moral」と「ethics」をテーマに、歌舞伎町で作品を展示することの意義をアーティストたちと再考する。店名はボッカッチョの同名小説集からとったもの。手塚マキがオーナー、アーティストの黒瀧紀代士がキュレーターを務めている。