EXHIBITIONS

石元泰博

石元泰博生誕100年記念作品展

2021.06.10 - 08.03

© Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center

© Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center

© Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center

© Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center

© Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center

© Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center

 PGIでは、写真家・石元泰博の生誕100年を記念した作品展を開催している。会期は8月3日まで。

 石元は1921年サンフランシスコ生まれ。3歳で両親の故郷・高知県へ移住し、39年に18歳で再度渡米。48年にシカゴのインスティテュート・オブ・デザインに入学し、アーロン・シスキンやハリー・キャラハンらのもと、ニュー・バウハウスの教育を受ける。53年に写真家として来日。シャープで理知的な石元の写真は、当時新鮮な驚きをもって迎えられ、同年に代表作となる「桂離宮」を撮影する。シカゴや東京の都市をとらえたシリーズ、そして「桂離宮」「曼荼羅」「伊勢神宮」など数多くの作品を残し、2004年に1万点を超える全作品を高知県立美術館に寄贈した。12年逝去。

 写真という二次元の表現方法で被写体の本質に迫ろうとした石元。とくにその姿勢は「桂離宮」に顕著に表れており、アメリカと日本という2つの文化のあいだで育まれた多角的な洞察力で、「桂離宮」のデザインにモダン建築の様式美を見出した。

 いっぽう、シカゴや東京の街中での一連のシリーズでは、人々の営みや時代を反映しただけでなく、被写体をじっと見つめることで現れるシュルレアリスティックな場面もとらえている。風景を描く線を使い、写真の平面性を特徴的に生かした作品群には、実験的な写真教育を受けた石元の鋭い視線が向けられている。

 20〜21年にかけては、東京都写真美術館、東京オペラシティ アートギャラリー、高知県立美術館で「生誕100年 石元泰博写真展」が開催。初期作から建築写真の仕事、晩年のグラフィカルなスナップのシリーズ「シブヤ、シブヤ」までの全キャリアを網羅したこれらの展覧会により、石元の構築的で硬質な作品の評価が高まった。

 本展は、石元の「造形」への深い興味に焦点を当てたセレクションで構成。初期の代表作を含むシカゴや東京で撮影されたスナップショットに、「桂離宮」「色とかたち」シリーズを加えた、モノクロ、カラー作品あわせて約30点を展示している。