石元泰博・コレクション展 桂離宮1981-82

　高知県立美術館の石元泰博・コレクション展の今期では、1981〜82年に撮影された写真シリーズ「桂離宮」を取り上げる。

　京都郊外の桂川河畔に位置する桂離宮は、17世紀初頭から中頃に八条宮家の別荘として造営された。書院や茶亭などの建築群とそれらを取り巻く庭園は、日本美の極致とも評される。

　写真家の石元泰博が初めて桂離宮を撮影したのは、アメリカでバウハウス流の造形感覚を磨き、来日した直後の1953年のこと。テクスチャーの際立つ敷石や、近代建築に通じる簡素な構成美をとらえた写真群は、国内外で高く評価される石元の代表作となった。

　80年代初頭、6年の歳月に及ぶ大改修を経た桂離宮と再び向かい合った石元。2度目の撮影では、前回の経験を踏まえながらも、装飾的な要素を取り込み、より空間的な広がりを持った視点によって、桂離宮の湛える重層性や多義性をもおおらかに写し取った。

　本展では、『桂離宮―空間と形』（岩波書店、1983）の掲載カットのモノクロ版を中心に、81〜82年に撮影された作品を紹介している。