EXHIBITIONS

川内倫子「Under the same sky」

2021.06.01 - 07.03

川内倫子「Under the same sky」より

 写真家の川内倫子が、MA2 Galleryでの初個展「Under the same sky」を開催する。

 川内は1972年滋賀県生まれ。2002年に『うたたね』『花火』で第27回木村伊兵衛写真賞を受賞。09年に第25回ICPインフィニティ・アワード芸術部門を受賞するなど、国際的にも高い評価を受け、国内外で数多くの展覧会を行う。著作も多数手がけ、近刊は写真集『as it is』(torch press)とエッセイ集『そんなふう』(ナナロク社)。

 2020年4月、川内は自宅の近所でツバメの巣を見つけ、そこで行われていたツバメの子育ての撮影を始めた。軒先につくられたツバメの巣、餌を求めて飛行する親ツバメ、親鳥の帰りを待ちわび、精一杯の口を開けるヒナ鳥、植物の芽吹き、陽光の輝き。どのような状況にあっても連綿と続く生命の営み、その純粋な力強さを、静かに見守るように切り取っていく川内の写真は、コロナ禍において様々な制約を余儀なくされ、心落ち着かない日々を過ごす私たちに、一時の清涼感と勇気をもたらしてくれる。

 一連の写真は最新刊として、世界中の著名な写真家がそれぞれの視点で「鳥」をとらえた写真集のシリーズ「Des oiseaux」(HeHe、日本国内)より出版。ツバメの子育ての撮影を始めてから川内は、「黙々と餌を運ぶ親ツバメを見ていると、ただ子供にご飯を食べさせることが、それだけでも親の役目は十分に果たしているよね、とシンプルに思わせてもらえて、なんだか励まされるような気持ちになり、塞いだ気持ちが晴れていくようだった」と語る。

 本展ではこの新作を中心に、川内がこれまでに撮影した鳥の作品を厳選して展示。また4層あるギャラリーの空間を生かして、「はじまりのひ」「光と影」など過去のシリーズも織り交ぜて紹介する。