EXHIBITIONS

杉本博司「OPTICKS」

2021.03.26 - 05.29

杉本博司 Opticks 128 2018 © Hiroshi Sugimoto Courtesy of Gallery Koyanagi

 杉本博司の個展「OPTICKS」がギャラリー小柳で開催。本展では、杉本が2020年の京都市京セラ美術館の個展で発表した大判カラー作品「Opticks」シリーズから4点が展示される。

 1704年に出版されたアイザック・ニュートンの『光学(OPTICKS)』により、白色だと思われていた太陽光が、プリズムによって赤、橙、黄、緑、青、藍、紫など複数の色から構成されていることが発見された。

「Opticks」シリーズは、ニュートンのこのプリズム実験の再現から始まり、最新技術を駆使し、杉本が15年間かけて完成させたもの。杉本は、ニュートンが発明した観測装置を改良し、プリズムを通して分光させた色そのものをポラロイドフィルムで記録した(*)。そして色と色の隙間に立ち現れる無限の階調を焼き付けたポラロイドを、デジタル技術で大判プリント作品に仕上げた。

 杉本は「私は捨象されてしまった色の間でこそ世界を実感することができるような気がするのだ。そして科学的な認知が神を必要としなくなった今、そこからこぼれ落ちる世界を掬い取るのがアートの役割ではないかと思うようになった。私は余命幾ばくもないポラロイドフィルムを使って、この色と色の隙間を撮影してみることにした。」と語っている。

 本展では、モノクロの写真作品で知られる杉本にとって初の試みとなる、「光を絵の具として使った」圧倒的なカラーフィールドを体感することができる。

*──ポラロイド社は2008年に倒産し、オリジナルのポラロイドフィルムも製造中止となった。本展覧会の作品は2009〜10年に最後の在庫のオリジナルフィルムで撮影されたものを展示する。

※ギャラリー小柳は緊急事態宣言に伴う休業要請を受け、4月28日〜5月11日まで臨時休廊。最新情報は公式ウェブサイトへ。