EXHIBITIONS

企画展

生誕100年 石元泰博写真展

2021.01.16 - 03.14

石元泰博 セルフ・ポートレート 1975(昭和50) ©︎ 高知県, 石元泰博フォトセンター

 モダン・デザインの思想に裏打ちされた厳格な画面構成と造形意識から、国際的に高い評価を得ている写真家・石元泰博。生誕100年を記念し、約60年にも及ぶ軌跡を回顧する企画展「生誕100年 石元泰博写真展」が開催される。

 石元は1921年アメリカ・サンフランシスコ生まれ。3歳のとき両親の郷里である高知県に戻り、39年に高知県立農業高校を卒業。同年に渡米し、終戦後はニュー・バウハウス(シカゴ・インスティテュート・オブ・デザイン)にて、先端的なモダンデザインと写真技法の教育を受け、石元作品の基礎をなす造形感覚を磨く。69年に日本国籍を取得。東京を拠点に活躍し、戦後日本において、写真界のみならず、美術、デザイン、建築にわたる芸術界全般に大きなインパクトを与えた。丹下健三、磯崎新、内藤廣など日本を代表する建築家の作品を多く撮影したことでも知られている。2012年没。

 日本の伝統建築にモダニスムを見出した代表作「桂離宮」、都市と人間のあり方を問いかける「シカゴ」「東京」シリーズ、建築家やデザイナー、編集者らとの交流を示す建築写真やポートレイト作品、密教の世界を精緻に写しとった「曼荼羅」、晩年に取り組んだ「とき」、そして半世紀あまりをともに歩んだ多重露光によるカラー作品シリーズなど、手がけた仕事は多彩を極める。

 高知県立美術館は、石元の約3万5千枚の写真プリント、15万枚を超えるフィルムなどの作品・資料を収蔵。本展では、この世界最大の石元コレクションを中心に、石元の写真家としての確固たる意志や被写体へ鋭いのまなざし、撮影に対する飽くなき探究心によって生み出された作品群を通して、写真家・石元泰博の生涯をたどるとともに、その色褪せない魅力に迫る。

 なお本展は、東京都写真美術館(2020年9月29日~11月23日)、東京オペラシティ アートギャラリー(2020年10月10日~12月20日)との共同企画展として開催されており、高知県立美術館が最終会場となる。